プロ野球選手から転身し、現在は刑事として県民の安全安心のため職務に当たっている加藤朋人巡査長=福井県警福井署

 日本野球機構(NPB)の舞台を目指し、福井県民に応援してもらっていたプロ野球選手から、県民を守る警察官へ―。福井県警の福井署刑事1課に勤務する加藤朋人巡査長(33)は、福井ミラクルエレファンツ(ルートインBCリーグ)の元投手という異色の経歴を持っている。選手時代の応援や支援に恩返しするため「県民に頼りにされる警察官」を目指し、事件捜査に日夜奮闘している。

 同県立大野高校出身の加藤巡査長は、大阪体育大学を卒業後に帰福。小学校講師として働きながらクラブチームの「福井ミリオンドリームズ」で野球を続けた。NPB12球団入りの夢を追い、2009年春にエレファンツへ。高い制球力、切れのある直球、スライダーを武器に活躍した。打線の援護に恵まれず勝ち星こそ二つだったが、防御率は3・51の好成績を挙げた。「ファンの応援は北陸の他のチームよりも大きかったことを覚えている」と話し、応援や支援してくれた人たちへの感謝の気持ちを忘れたことはない。

 NPBを目指す夢には1シーズンでけじめをつけ、県内の商社に就職した。ただ商社マンとして働く中で、日々募る思いがあった。「福井県のために、県民のために働ける仕事がしたい」。応援や支援を受けてきた古里福井への思いは次第に強くなり、15年度に警察官の採用試験を受験。一発合格を果たした。子どもの頃から警察官になりたかったわけではなく「それだけ、福井のために働きたい思いが強かったんだと思う」。

 3年目の今年、福井署刑事1課に配属され、強盗や殺人など凶悪事件を担当する係に入った。「警察は組織的な仕事だけど、地道に捜査を進める精神的な強さが必要。投手で培ったメンタルは生きている」と充実感をにじませる。刑事としてはまだまだ新米だけに「同僚に対する指導でも、自分に置き換えて学ぶよう心掛けている」という。

 休日でも、事件が起これば捜査に出ることもよくある厳しい仕事だが「被疑者を特定して検挙する、その瞬間に携われることがやりがい」と語る。同期では最年長でもあり「負けたくない」と元アスリートの闘争心は健在。県民の安全安心確保に向け「もっともっと経験を積んでいきたい」と意欲的に話している。

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