国体総合開会式で模範試合を披露する川崎文義名人(右)と三好輝明八段=9月16日、福井県福井市の9・98スタジアム前

 9月29日に迫った福井しあわせ元気国体の総合開会式で、天皇、皇后両陛下が着席される前に、競技かるたの川崎文義名人(29)=福井県越前市=が模範試合を披露する。競技かるたが盛んな福井県ならではの企画で、両陛下も百人一首に深く親しみを持たれている。天皇陛下が皇太子時代にご一家で百人一首に興じられる貴重な写真が県内で大切に保管されており、川崎名人は「両陛下のお近くで模範試合を披露でき光栄」と本番を心待ちにしている。

 福井県は、川崎名人や前準名人の三好輝明八段(35)=越前市、山崎みゆき元クイーン(55)=坂井市=ら名選手を多く輩出し「かるた王国」とも呼ばれる。福井市の9・98スタジアム(県営陸上競技場)で行われる総合開会式の「歓迎県民イベント」で、ステージに畳を敷き、川崎名人と三好八段が8分間対戦。全国の選手らに福井の“特技”をPRする。

 川崎名人らが練習する福井県かるた協会(福井市)の道場に、1970年4月4日に東宮御所で撮影された写真がある。「皇太子殿下御一家かるた会風景」と書かれ、両陛下や浩宮時代の皇太子さま(当時10歳)が、真剣に侍従たちと対戦される姿を収めている。別の「名人模範競技」と書かれた写真では、当時の名人、松川英夫さん(75)=東京都=と前名人の試合を、両陛下と皇太子さま、当時4歳の秋篠宮さまが目の前で観戦されている。

 2枚の写真は当時、全日本かるた協会副会長だった福井市の故仙達実さんが1996年に亡くなるまで、自宅で保管していた。

 天皇ご一家が百人一首に親しまれる様子は、元宮内庁東宮侍従で皇太子さまの教育担当だった故浜尾実さんが、著書「美智子さま 愛と心の小さな話」(97年、青春出版社発行)で紹介している。「宮さま方というのは、本当に百人一首がお好きなのだ」とし、正月は侍従が読み札を読み、ご一家でかるたに興じられると書いている。「一番お強いのは(皇后)美智子さま、次が(天皇)陛下、浩宮さまの順」とも紹介。札が読まれると一瞬で札をはね飛ばすなど、優雅どころではなく、緊張感に満ちあふれているとしている。

 現在、全日本かるた協会会長の松川さんは70、71年の2度、東宮御所で試合を披露した。ご一家を「競技をよく理解されており、熱心にご覧になってくださった。御所内でかるた大会があり、盛んな印象を受けた」と振り返った。

 国体総合開会式に臨む川崎名人は「ご一家が百人一首に関心をお持ちだと写真を見て知り、励みになった。福井のPRになるよう頑張りたい」と話している。

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