越前市わかちあいプロジェクトのイメージ

 実態がつかみにくい生活困窮者の早期発見を目的に、福井県越前市は市社協、JA越前たけふ、武生郵便局と連携し、農家から募った余剰米を困窮者宅に無料で郵送する「越前市わかちあいプロジェクト」をスタートする。行政と民間が連携し、困窮世帯の実態把握のために食糧支援をする試みは県内初。中核を担う市社協は「潜在的な困窮者とつながるきっかけにしたい」と話している。

 市社会福祉課によると、市内の生活保護世帯は9月20日現在185世帯207人で、近年は横ばいが続く。生活困窮者が相談窓口に来た時点で、生活保護申請が必要な状況に追い込まれているケースが多いという。市担当者は「もっと早く接点をつくれていれば、いろんな支援ができたのにと悔やまれる」と明かす。

 市社協は各町内に「福祉連絡会」を組織して情報収集に努めているが、「生活に困っていることを近所に知られたくない」という心理が壁となり、生活困窮者の早期発見と支援ニーズの把握は大きな課題となっている。

 同プロジェクトでは、市がまず10、11月の公共料金の滞納者に送る督促状に「お米が届きます」とするチラシを同封。申し込んだ市民を市社協の自立相談支援員が訪ね、実態を把握。生活困窮者と判断されれば、1世帯に月5キロの米を3カ月間郵送する。その間に支援員を中心に家計の見直し、借金返済、就労などをサポートして自立を促す。

 一方、送る米はJA越前たけふが窓口となり農家に余剰米の寄付を呼び掛ける。新米を収穫する秋は、農家が自宅に保管していた昨年分の米を寄付しやすい時期という。集まった米は授産施設などで5キロずつ梱包してJAが一時保管。配達先の情報提供を受けた郵便局が11月ごろから困窮世帯に配達する。郵送料は減額される。本年度は20世帯への配達を予定している。

 プロジェクトのヒントは、東京都文京区がフードバンク活動に取り組むNPOらと連携して貧困状態の子育て世帯の支援として昨年始めた「こども宅食」。大手食品メーカーなどの協力を得て余剰食品を家庭に送る都市部のシステムを、農家が多い“地方版”として再構築できないか、市が今春から調整してきた。25日に4者の協力締結式を市福祉健康センターで行う。

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