手術支援ロボット「ダビンチ」を使った胃がん手術の様子=福井県福井市の福井赤十字病院

 内視鏡下手術を支援するロボット「ダビンチ」を使った福井県内初の胃がん手術が、福井赤十字病院(福井市)で行われた。所定の訓練を受けた医師が、操作台の3Dモニターをのぞき込み、4本のアームを慎重に操る。多関節鉗子(物をつかむための器具)の柔軟で繊細な動きにより、安全で正確な手術が可能になっている。ロボット支援手術は本年度から胃がんや大腸がんなどで新たに保険適用になり、活用が広がりつつある。

 内視鏡下手術は、体に小さな穴を開け、カメラ、鉗子などの手術器具を差し込んで行う。▽傷口が小さく出血量が少ない▽回復が早い―など開腹手術に比べて患者の体の負担が少なく、術後の合併症のリスクも低いとされる。支援ロボットを使った内視鏡下手術は、これまで前立腺がんと腎臓がんの場合のみ保険適用だったが、今年4月に胃がん、食道がん、大腸がんなどの12術式も適用になった。

 米国の医療機器メーカーが開発した手術支援ロボットのダビンチは、医師が操作台の3Dモニターの高解像度映像を見ながらコントローラーやペダルを操作してロボットアームで手術する。アーム先端の関節機能は繊細な動きが可能で、骨盤の奥深くなど狭いスペースでも正確に手術が行えるようになっている。指先と違って触感がないのが“弱点”だが、モニターの高度な視覚効果でカバーする。県内では福井赤十字病院と福井大医学部附属病院(永平寺町)に整備されている。

 ダビンチによる胃がんの手術は、主にステージIの早期がんが対象で、幽門(胃の出口)側胃切除術や噴門(胃の入り口)側胃切除術、胃全摘術が可能。胃と腸を体内でつなぐ「体腔内吻合(ふんごう)」やリンパ節の切除にも対応できる。入院期間は10~12日で、通常は翌日から歩行できる。

 福井赤十字病院では7月初旬からこれまでに3人の患者に実施した。執刀医の1人、藤井秀則外科部長は「アームは人間の手首以上に可動域が広く、手ぶれ補正機能もあり、ロボットならではの機能は安全な手術につながる。近い将来、ロボット支援手術が主流になる時代がくるだろう」と話している。同病院では今後、大腸がんの手術に使いたいとしている。

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