(C)2018「食べる女」倶楽部

 脚本家の筒井ともみが、自身の小説を脚色し、プロデュースも担った群像劇の女性映画で、テーマは食とセックス。小さな古本屋を営む雑文筆家、番組制作会社のAP、小料理屋の女将、さらにはシングルマザーまで職業も年齢も恋愛観もさまざまな8人のヒロインを、小泉今日子はじめ主演級の女優陣が演じている。

 見どころはもちろん、その豪華共演と、“おいしいゴハンと愛しいセックス”がいかに人生に潤いをもたらすか!をユーモアや現代性を盛り込んで描く筒井の脚本の面白さだが、映画としての完成度も高い。例えば、少女たちが道路に耳を当てて地下水の音を聞き取ろうとする冒頭から、映画の空気が濃密に漂い、その地面に耳を当てる行為がキョンキョンによって反復されたかと思えば、涸れ井戸のエピソードが何度も挿入される映画ならではの“繰り返し”の手法や、“のぞき見”などの映画的な身振りが、効果的に用いられている。

 極めつきは、口。本来はフォトジェニックでないはずの口(食べる口はなおさら)が、ここでは美しく見えるのだ。8人の中で最も口が強調されるのは沢尻エリカだが、それは彼女が実際においしそうに食べる人だからなのか、監督の演出のたまものなのかはさておき、本作が被写体としての口を意識しているのは確か。監督はTBSの大御所ディレクターだが、映画とテレビの違いに自覚的なのだろう。★★★★★(外山真也)

監督:生野慈朗

原作・脚本:筒井ともみ

出演:小泉今日子、沢尻エリカ、前田敦子、広瀬アリス、山田優、壇蜜、シャーロット・ケイト・フォックス、鈴木京香

9月21日(金)から全国公開

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