恩師の内藤直樹さん(左)に健闘をたたえられ、握手する新良貴優選手=9月17日、石川県金沢市の金沢プール

 福井に飛び込みを広めたい―。石川県金沢市で行われた福井しあわせ元気国体の競技に臨んだ新良貴優(しらき・すぐる)選手(23)=福井運動公園事務所=は、その夢に向け生まれ育った広島を離れ、昨秋来県した。決意の陰には、競技不毛の地だった広島を強豪に育て上げた恩師の背中があった。9月17日の成年男子高飛び込みで5位入賞し「実力を出せた。僕の演技で興味を持ってくれる子が出てきてくれたら」。未来の飛び込み王国への挑戦が始まった。

 競技を始めたのは小学4年の時。夏休みに飛び込みプールを開放し、体験教室で選手を募っていた。周りが尻込みする中、3メートルの高さから飛び、体中に電流が走った。「高いところから飛び込むのが新鮮で快感だった」

 教室で出会ったのが内藤直樹さん(46)=広島県福山市。1996年の広島国体を機に選手として静岡から広島に移り、同国体で成年男子板飛び込みを制した。翌年、競技開催地の福山市にクラブを設立し、普及に取り組んでいた。

 内藤さんの指導は、選手と対話しながら演技を作り上げるスタイル。新良貴さんはめきめき実力を伸ばし、高校2年の山口国体で板飛び込み優勝、大学では日の丸を背負うまでになった。クラブは国内トップ選手を輩出し、新良貴さんが1期生で入った福山平成大は現在、国内で2番目に多い選手を擁している。

 大学3年の時、福井県水泳連盟から選手としてだけでなく、国体後の指導者としても熱心に誘われた。広島県代表でも期待される中での誘いに揺れたが、内藤さんは「ゼロスタートだからこそやりがいがある。やる以上は骨を埋める覚悟でやれ」と背中を押してくれた。

 「飛び込みが人生を変えてくれた。自分も新天地で内藤さんのような指導者になりたい」。今春、福井県の教員採用試験に合格した。今は競技に集中しているが、ゆくゆくは指導を始めるつもりだ。「まずは福井の子どもたちに飛び込みに親しんでほしい」とクラブ立ち上げを思い描く。

 広島県代表監督として、会場でまな弟子の演技を見守った内藤さんは「優はどんな苦しい時も逃げない。指導者として、私たちの前に立ちはだかるような選手を育ててほしい」とエールを送った。

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