福井商業主将だった坪井久晃さん

 第100回の節目を迎える全国高校野球選手権大会。開会式では近江(滋賀)の中尾雄斗主将(3年)が選手宣誓の大役を務める。高校野球ファンの注目を集める選手宣誓の文言。第66回大会(1984年)で、福井商業の主将だった坪井久晃さん(51)が、趣向を凝らした宣誓の先駆けだ。

 「宣誓。われわれ選手一同は、第66回全国高等学校野球選手権大会に臨み、若人の夢を炎と燃やし、力強くたくましく、甲子園から大いなる未来へ向かって、正々堂々と戦い抜くことを誓います」―。紋切り型の言葉を絶叫するのではなく、独創的な文章で柔和な口調。インパクトは非常に大きかった。

 “歴史的な選手宣誓”は勘違いから生み出された。大会役員から「(選手宣誓を)紙に書いて持ってきて」と告げられ、監督、部長を含めて全員がオリジナリティーを求められていると解釈。ひとひねりを入れなければと思い込んでしまった。

 福井商業のユニホームの袖に描かれている炎のエンブレムからヒントを得て、甲子園球場に向かうバスの中で必死に覚えた。「だから、移動中の記憶は全くない」と笑う。

 球場中の視線を一身に集めた30秒間だった。「終わるまでは、緊張感がすごかった」。開幕試合も戦い「あんなに濃い一日はない」と語る。

 反響を呼んだ選手宣誓。翌年以降は地方大会でも独自色が強まった。「いろんなものの始まりって、勘違いとか、偶然で始まるのかな」。坪井さんは、今年の甲子園開幕を楽しみに待っている。

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