日本ボクシング連盟の山根明会長

 日本のアマチュアボクシング関係者が、嘆いていることがある。

 2023年からの4年間、国民体育大会(同じく2023年から名称が「国民スポーツ大会」に変わる)でのボクシング競技が、隔年開催に変更されることが2017年3月に決定されたことだ。

 ある大学関係者はこう語る。

 「高校生にとって大きな大会が一つ少なくなってしまうのは、業界全体にとって大きなマイナスになるでしょう」

 ではなぜ、ボクシングは毎年開催から隔年開催へと変更されてしまったのか。決定をした当時の日本体育協会(現日本スポーツ協会)は、実施競技選定にあたり、六つの評価基準を設けた。それが、以下の6項目だ。

・競技会の活性化(130点)

・ジュニア世代の充実(200点)

・女子スポーツの推進(200点)

・スポーツ医・科学サポートの充実(120点)

・競技会の開催・運営能力(150点)

・競技団体のガバナンス(200点)

 ボクシングは国体で実施される41の正式競技のうち、総合で最低の評価となり、40位のクレー射撃とともに隔年開催へと降格になってしまったのである。

 ボクシングの評価を、最高点をマークした水泳と比較しながら見てみよう。

 ▽競技会の活性化

水泳 123・8

ボクシング 94・9

 ▽ジュニア世代の充実

水泳 173・2

ボクシング 113・3

 ▽女子スポーツの推進

水泳 170・0

ボクシング 55・0

 ▽スポーツ医・科学サポートの充実

水泳 114・0

ボクシング 93・0

 ▽競技会の開催・運営能力

水泳 129・0

ボクシング 72・0

 ▽競技団体のガバナンス

水泳 160・3

ボクシング 133・5

 ボクシング側から見れば、すべての項目で大きく水を空けられてしまった格好になっているが、女子の競技参加や競技会の運営能力といった項目の評価は、詰まるところ競技団体のカバナンス能力に大きく左右される。

 当時の日本体育協会の評価を見れば、日本ボクシング連盟に対して「イエローカード」を出していることは明らかだが、その後、山根明会長から積極的な改革案が示された痕跡もなく、今回、関係者333人による告発状が、日本オリンピック委員会や内閣府に提出された。

 ある関係者は、「レスリングのパワハラ問題、日本大学アメリカンフットボール部の反則タックル問題が大きく報道されたことも、告発文の提出に影響を与えていると思います」と語る。

 後になって振り返った時、2018年は「スポーツガバナンス元年」だったと評価できるようになるのだろうか。正常化は決して平たんな道のりではないと思う。

 異常事態となったアマチュアボクシング界。8月1日からはインターハイのボクシング競技が岐阜県で開催されるが、いつもは関係者ばかりのこじんまりした大会が、違う意味で注目を集めることになりそうだ。

生島 淳(いくしま・じゅん)プロフィル

1967年、宮城県気仙沼市で生まれ。早大を卒業後広告代理店に勤務し、99年にスポーツライターとして独立。五輪、ラグビー、駅伝など国内外のスポーツを幅広く取材。米プロスポーツにも精通し、テレビ番組のキャスターも務める。黒田博樹ら元大リーガーの本の構成も手がけている。

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