認知機能検査の結果を待つ高齢ドライバーたち=6月、福井県運転者教育センター

 「運転できなくなってすごくさびしい」。買い物や病院、美容室…。数十年間ほぼ毎日、車を運転する生活を送っていた酒生耀子さん(85)=福井県福井市=は、2017年4月に運転免許を自主返納した。体は元気だったが、子どもから「将来、事故を起こして人を巻き込むかもしれない」と返納を促された。最初は反発したが、夫が運転中の事故で亡くなっていたこともあり受け入れた。

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 返納すると生活は一変した。通っていたショッピングセンターへは、家族に送迎してもらうほか、タクシーを使ったり、バスを乗り継いだりする。だが、タクシーは経済的負担が大きく、家の近くを走るバスは1時間に1本あるかどうか。ほとんどバスを利用したことがなかった酒生さんにとって、待ち時間や乗り換えなど戸惑うことばかり。「好きなように運転して出かけたいと思う時もある」と話す。

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 17年、県内で65歳以上の高齢者が起こした人身事故は347件。12件は死亡事故だった。

 75歳以上のドライバーは、免許更新時などに認知機能検査を受けなければならない。「認知症の恐れ」と判定されると、更新には医師の診断書が必要。県警運転免許課によると、県内では17年、1万7254人が検査を受検し716人が「認知症の恐れ」と判定された。281人が医師の診断書提出命令を受け、そのうち111人が運転免許を自主返納した。

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