「複合災害から命を守るために」をテーマに大学教授や気象キャスターら意見を交わしたパネルディスカッション=7月22日、福井県福井市の県自治会館

 福井地震の発生70年に合わせた「複合災害・福井地震70年シンポジウム~過去の災害に学び、備える~」(国土交通省福井河川国道事務所主催、福井新聞社、NHK福井放送局共催)は7月22日、福井県福井市の県自治会館で開かれた。地震と洪水の複合災害だったことや、被害の甚大さを研究者が解説。70年前の大災害を教訓に、今後の自然災害に対する備えのあり方を考えようと約220人が耳を傾け、意識を高めた。

 福井地震は1948年6月28日、坂井市丸岡町を震源として発生し3769人が死亡。県内の家屋全壊は約3万5千戸に及んだ。約1カ月後に豪雨が襲い、地震で損傷していた九頭竜川の堤防が決壊し、大規模な水害が発生した。

 全国各地の水害を調査している東京理科大の二瓶泰雄(にへい・やすお)教授(48)は、地震の揺れで川の堤防が沈下し、その後の大雨で決壊して複合災害となる危険性を解説。福井地震では九頭竜川の堤防が沈下し亀裂が入っていたところ、1カ月後の7月23~25日の大雨で決壊し「福井市(当時)で氾濫面積は60%、浸水戸数は40%に及んだ」と説明した。2016年4月の熊本地震では堤防が最大1メートル以上沈下し、2カ月後の大雨で決壊したという事例も交え、地震と洪水の複合災害は110年間で20回発生しているとした。

 福井高専の吉田雅穂教授(52)は、災害記録から福井地震をひもといた。▽軟弱な福井平野▽耐震性の低い木造住宅▽火災による二次災害―で甚大な被害になったことを写真を交え説明。震度7や建築基準法を制定する契機になったことも解説し、「福井地震を後世に伝え、忘れないようにすることが将来への備えになる」と訴えた。

 その後、2教授を含む5人のパネリストによる討論が行われた。福井河川国道事務所の嶋田博文所長(40)は、短時間豪雨の頻度が30年前に比べて約1・4倍に増えているとした上で「堤防など施設の能力には限界がある。防ぎきれない大洪水は必ず発生する、という意識を持って備えることが重要」と述べた。

 聴講した坂井市の女性(53)は「地震が起きたら、川にも関心を持つべきだと学んだ。住民みんなが防災への意識を持てるよう、地域内で伝えたり、講演や防災訓練に誘い合ったりしていきたい」と再認識していた。

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