福井県立病院陽子線がん治療センターの陽子線治療装置

 福井県立病院陽子線がん治療センター(福井市)は、前立腺がんの治療について、1回当たりに照射する陽子線量を増やし、通院(治療)期間を従来の8週間から2週間短縮できるようにした。副作用を抑制しながら、患者の通院にかかる負担を減らす。

 前立腺がんは男性のがんの中で3番目に多く、男性のがんの死亡原因では6位にある。昨年度は全国で約8万6千人が患い、約1万2千人が亡くなったと推計されている。加齢とともに発生数が増え、高齢化の進展に伴って患者は急増するとみられている。

 これまでは従来のエックス線治療と同じく、8週間(37~39回照射)の通院が必要だった。名古屋陽子線治療センターの臨床試験で、1回に照射する線量の増加によって通院期間が短縮できることが分かった。県立病院でも同様の効果が確認できたことから、通院を6週間(平日に毎日・28~30回照射)に短くできるようにした。

 1回で強い線量を照射するため、病巣に正確に狙い撃ちしないと副作用が強く出ることが懸念されるが、県立病院の同センターでは前立腺や周囲の臓器の位置をCTで確認し、がんに集中して照射する「CT位置決め法」を先駆けて導入しており、副作用の影響は抑えられるという。

 玉村裕保センター長は「働いている人や高齢者にとって、通院期間が短くなることは有意義。別の放射線治療を受けると、陽子線治療が受けられなくなってしまうので、利用を検討している人はまず相談してほしい」と話す。

 陽子線治療は本年度から新たに前立腺、頭頸部の一部、手術困難な骨軟部のがんに公的保険が適用されるようになった。前立腺がん患者の利用が最も多く、公的保険適用後は約2・5倍になっているという。月ごとの医療費に上限を設ける「高額療養費制度」を活用すれば、患者の実質負担はかなり抑えられる。

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