「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION」でトヨタが設置したブースの一つ。RCカーを通じて、子どもたちにモータースポーツへの興味を持ってもらう狙いだ(撮影・田口浩次)

 今年も暑い夏がやってきた。8月5日から今年で100回の節目を迎える全国高校野球選手権記念大会、いわゆる「夏の甲子園」が開催される。いまだに根強い人気を誇る高校野球だが、近年は出場校が減少しているという問題を抱えている。

 要因は、野球を楽しむ子供の数が減ったから。少子化の影響はもちろん無視できない。それ以上に深刻なのは、プロリーグがあるサッカーやバスケを始めとする他の競技に興味を持つ子どもが多くなったため、野球に興味を持つ子どもが相対的に減っていることだ。この対策として、プロ、アマを問わず、子供向け野球教室などを盛んに行うようになっている。

 子どもたちに興味をもってもらう―。これは、モータースポーツにおいても共通の課題だ。即効性はさほど期待できないので、確かに遠回りにはなる。それでも、モータースポーツを長きにわたって愛してくれるファンになってもらえるのだから、やはり重要なことなのだ。レース関係者もそのことを認識するようになってきている。

 例えば、ホンダは「ツインリンクもてぎ」(栃木県)に併設した入館無料の「ホンダコレクションホール」で、四輪のF1や二輪のモトGPといった最高峰クラスで輝かしい戦績を残したマシンやバイクを展示している。さらに、東京・青山の本社にも往年の名マシンを置いている。

 とはいえ、サーキットや本社では限界があるのも事実だ。なぜなら、そこを訪れるのは、車、そしてモータースポーツに興味がある人がほとんどだからだ。新規のファンを作るにはどうすればいいのか。

 この課題に新たなアプローチで挑戦しているのが、トヨタ。イベントに“自ら赴いて”モータースポーツ活動を紹介するのだ。一例としては、14日から8月26日まで東京・六本木の六本木ヒルズで開催される「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION」に、参戦中の世界ラリー選手権(WRC)の世界を体験できるブースを出展している。

 ブースでは、WRCの世界をより一般の人に知ってもらうため、大型スクリーンに映し出される迫力満点の映像や音、映像に連動して動くシートで、走りを疑似体験してもらうほか、実際に使用している車両を展示。さらに、ラジオコントロール(RC)カーを使って、遊べるコーナーもつくるなど、モータースポーツを知らない人でも楽しめる工夫を施した。

 実際に訪れたところ、RCカーのコーナーは小学生以下の子どもたちが行列を作るほどの盛況。多くの子供らが特設コースでマシンを走らせて楽しんでいた。メンテナンスをサポートする模型メーカー「タミヤ」の前住論さんは「ひと夏で1万人以上の方が、このコーナーを楽しむとなると、将来、RCカーの全日本選手権出場者で『最初のきっかけは、このコーナーでした』なんて子供が本当に生まれる気がします」との期待を口にした。

 モータースポーツを始めとするスポーツに限らず、子どもの頃に興味を持ったことは、大人になっても忘れることがない。だからこそ、初めてそれに触れたときにいかに楽しい思い出を持つことができたかが大切になる。現状をうれうのではなく、ファン作りに必要な新たな施策を常に打ち続けることが、いま最も求められていることなのではないだろうか。(モータースポーツジャーナリスト・田口浩次)

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