あめ色の油団が敷かれ、涼感を漂わせている客間=7月17日、福井県越前町内郡の荒平楼

 和紙を貼り重ねた伝統ある夏の敷物「油団(ゆとん)」が、福井県越前町内郡の老舗料亭「荒平楼(あらへいろう)」の座敷にお目見えしている。つるつるとした肌触りが心地よく、すだれ越しの陽光が深いあめ色の表面に反射し、涼しげな空間を演出している。

 油団は、和紙を幾枚も重ね合わせ、表面にエゴマ油を塗り仕上げている。つややかな表面はひんやりとし、夏の敷物として江戸時代から親しまれてきた。昔ながらの製作技術は県の無形民俗文化財に指定され、鯖江市の表具店「紅屋紅陽堂(べにやこうようどう)」で作られている。

 明治初期に創業した荒平楼では、100年以上前の油団を補修しながら使い続けている。6月から9月までの間、薄絹の張られた夏障子や御簾(みす)とともに田の字型の客間を彩る。5代目店主の飛田(とびた)和広さん(63)と妻改世(かよ)さん(58)は「代々使ってきたからこその味わいがある。夏の風流ですね」と話していた。

 
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