今年1月中旬から物が二重に見えるようになりました。右下がりに二重に見えます。眼科を受診したところ、加齢による斜視とのことで、現在「膜プリズム」を左目の眼鏡に貼っていますが、とてもうっとうしいです。裸眼の視力は右1・0、左0・8です。6カ月〜1年で良くなると言われましたが、治るのか心配です。アドバイスをお願いします。(福井県勝山市、78歳女性)

 【お答えします】蒔田潤・福井赤十字病院眼科部長

 ■麻痺性斜視か

 物が二重に見える状態を複視といいます。加齢による斜視との診断を受けているので大丈夫とは思いますが、突然起こる斜視に関連した複視には、目ではなく、脳動脈瘤(りゅう)のような頭の中の病気が原因となっていることがあります。時には生命に関わるため、早急な診断と治療が必要になります。

 既に半年が経過しているとのことで、眼球を動かす神経や筋肉の働きが悪くなって起きる麻痺(まひ)性斜視であるようです。左右の目を協調して動かせないために複視が起きるので、片目ずつで見れば二重には見えません。

 麻痺性斜視には、糖尿病、甲状腺機能異常、頭部外傷などの眼筋麻痺を起こす原因がある場合と原因不明の場合があり、原因の病気の治療ができる場合はまずそちらを優先します。

 一方、原因不明の場合は通常半年から1年の間、様子をみます。MRIなどの頭の検査をしても見つからないような小さな脳梗塞や、一時的な血のめぐりの悪さが原因である場合には、何もしないでも自然に治ることがあるからです。

 しかし、積極的な治療もなくただ待っているのは精神的にも辛く長く感じるものです。そこで苦痛が少しでも和らぐよう、ずれた目の向きに合わせて光を曲げるフィルム「膜プリズム」で複視を減らしたり、片目を隠したりしながら経過をみます。従って今までの半年間の治療は適切だったと思われます。

 ■手術や膜プリズムで改善

 その期間が過ぎても眼球の動きとずれ幅に変化がない場合には、左右の目のずれ幅に応じて治療に入ります。

 大きな角度の眼位ずれに対しては斜視手術を行います。左右の目に映る二つの映像を脳が一つに統合できる範囲内に、手術で眼球の向きを矯正できれば複視は消失します。しかし、横ずれに比べて縦ずれや斜めのずれは手術での微調整が難しく、ずれの自覚がわずかに残るとむしろ辛く感じることもあるようです。

 その際の微調整には、現在お使いのような膜プリズムを使用します。使い慣れてくるとうっとうしさも軽減するようです。現在のところは、定期的に通院を重ねながら、膜プリズムをご使用頂くのが良いかと思います。

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