再生古民家で行われたR空間工作室の梅酒イベント=7月5日、福井県敦賀市横浜の「朱種」

 記者が食をテーマにしたまちづくりの実践に挑戦する福井新聞連載「まちづくりのはじめ方」の関連イベント「ふくいフードキャラバン」。第3弾は26日に若狭町で開く。海、山、里、そして「湖の幸」の魅力をより効果的に町内外に発信できるよう、地元の人たちと準備を進めている。一方で、フードキャラバンの趣旨に共感してくれた県内有志グループが、独自にイベントを開く動きも出てきた。

 福井県若狭町の湖の幸は、川エビ(テナガエビ)をはじめコイ、フナ、ウナギと多彩。漁獲量が少ないこともあって町外にあまり流通していない。フードキャラバンのテーブルコーディネートを引き受けてくれた地元の料理家、藤本よしこさん(39)は「古代から湖と一緒に暮らしてきた地域。今もその食文化が息づいている。ここに来ないと食べられない食材を発信できるところに、フードキャラバンを開催する意義を感じた」。

 藤本さんは、これまで2回開いたキャラバンの趣旨を理解し、動画や町内外への発信を意識した準備を心掛けている。若狭では豊かな自然素材を空間デザインに取り入れるのは、ごく普通のこととか。まちづくりに関わる人たちは、一段上を意識している。藤本さんも「新しいアイデアを盛り込みたい」と意気込む。

 三方湖で捕れる川エビは、殻が軟らかくて味が濃厚。同町の洋食店「和伊和伊(わいわい)亭」のオーナー、竹中淳二さん(46)=大阪市出身=に料理をお願いした。和伊和伊亭はオープンキッチンで、普段から顧客との対話を重視した対面調理を行っている。今回も、若狭町の食材の魅力を、お客さんの前で話しながら調理、提供してくれる。

 梅干しのシソ漬け、梅ジュースづくりを習うワークショップや、国の有形文化財である鳥浜酒造(同町)見学もイベントに組み込んだ。同酒造の蔵元杜氏(とうじ)、小堀安彦さん(51)からは、地元の食文化と地酒の関係について話を聞く。

 タイトルは「いにしえの里・WAKASA 湖のビストロランチ」と銘打った。舞鶴若狭自動車道の全線開通によって嶺北や県外からも行きやすくなった若狭町を、たっぷり満喫してもらう。

 午前10時〜午後3時。参加費3千円。先着20人で締め切る。住所、氏名、年齢、性別、携帯電話番号、連載「まちづくりのはじめ方」の感想を添え、メール=machidukuri@fukuishimbun.co.jp=で申し込む。問い合わせは企画班フェイスブックページまで。

■再生古民家+梅酒 敦賀の建築技術グループが催し

 空き家を改修し、地域活性化につなげようとする建築デザイン技術グループ「R空間工作室」は7月5日、敦賀市横浜で、若狭町産の梅酒と、梅酒に合う食事を楽しむイベントを開いた。

 会場は、同グループが再生した古民家モデルハウス「朱種(しゅしゅ)」。照明に飾ったナンテンの葉は、メンバーの空間デザインのこだわりだ。仕掛けたのは、フードキャラバンの趣旨に賛同してくれた代表の北山大志郎さん(44)=美浜町木野。「古民家の古さと新しさのバランスを上手に見せながら、大人の空間を楽しめる場をつくり上げたかった」と話す。

 若狭町で宿泊施設「湖上館パムコ」を運営する田辺一彦さん(43)=同町海山=が、おいしい梅酒づくりのコツを伝授。その後、農業生産法人エコファームみかた(同町)が製造する5種類の梅酒に合わせた料理を楽しんだ。

 同法人社長の新屋明さん(44)は「地元でPR活動をしても、当たり前すぎて素通りされることも多かった。だけど、きちんと場が設定されると、高い関心を持ってもらえることが分かった」。

 次回は8月23日、同町のうなぎ専門店とコラボしたイベントを行う。北山さんは「地元に住む人が地元の良さを発見する」イベントとして、今後も継続させていくという。

■第4弾は9月 「ジビエ」発信 大野で本格イタリア料理

 県内産のジビエ(野生鳥獣肉)の消費拡大につなげようと、大野市朝日前坂の前坂キャンプ場などは9月14日、イタリア人シェフを招いて調理を体験する野外イベントを同キャンプ場で開く。本紙企画班が協力し、「ふくいフードキャラバン」第4弾としてジビエの楽しみ方を発信する。

 イベントは、ジビエ料理の商品化に取り組む同キャンプ場の巣守和義社長と、国際交流サークル「インターナショナルクラブ」(福井市)の山下善久代表が発案。フードキャラバンの動きを知り、企画班に連携を持ちかけた。

 参加者は3〜5人程度のグループ20組を募り、事前に提供するジビエで独自のメニューを考えてもらう。当日はダッチオーブンで調理を実演するコンテストを開き、グループ間で試食し合う。ジビエの郷土料理を通じ、地元で親しまれる食べ方にも触れる。

 福井市文京1丁目のイタリアレストラン「リストランテ カシーナ」シェフのシルバーノ・マスッティさん(47)に協力を依頼。イノシシとシカの肉を使った本格的なイタリアンのメニューを振る舞うほか、参加者が調理したメニューをプロの目で審査する。

 近く参加者の募集を始める。ジビエの商品価値を実感してもらう狙いで、消費者が手軽にネット購入できるホームページ作成も検討している。巣守社長は「特有のにおいがあるというジビエへの先入観を取り除き、上質な食材というイメージを持ってほしい」と話している。

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