数年前から嘔吐(おうと)時に左胸下辺りで腸がねじれる感覚(さわるとボコッと隆起し痛む)があります。痛みが治まるまでは息ができないほど苦しいです。最近はくしゃみや、ふとした動作で体をひねったときなどでも起こるようになりました。内科に行きましたが、食あたりや腹痛の説明をされるばかりで、原因がいまひとつ分かりません。(鯖江市、39歳女性)

【お答えします】有塚敦史・福井県立病院消化器内科副医長

■消化管の通過障害疑い

 嘔吐や腹痛といった消化器症状と触知可能な隆起を認めることから、消化管の通過障害が疑われます。排便・排ガスの状況や便の性状(便秘または下痢)、下血の有無、帝王切開を含めた腹部手術の既往、内服歴などの情報が重要となります。

 腸閉塞(へいそく)(イレウス)は、物理的な腸管閉塞である機械的イレウスと、腸管運動の異常による機能的イレウスに分類されます。さらに、機械的イレウスは腫瘍や癒着、炎症性腸疾患などによる腸管の血行障害を伴わない単純性(閉塞性)イレウスと、腸捻転や腸重積、ヘルニア嵌頓(かんとん)などによる腸管の血行障害を伴う複雑性(絞扼(こうやく)性)イレウスに分けられます。

 また、機能的イレウスは、腸管運動が低下する麻痺性イレウスと、腸管運動が亢進(こうしん)する痙攣(けいれん)性イレウスに分けられます。中でも絶飲食や腸管の減圧による内科的治療で改善しない閉塞性イレウスや絞扼性イレウスでは外科的治療が必要となります。よって、そのような病気を否定するためにも、腹部レントゲン検査や超音波検査、CT検査を受けてみてはいかがでしょうか。

■各種画像、内視鏡検査を

 腸管に狭窄(きょうさく)や閉塞が認められないにもかかわらず、嘔吐やねじれるような痛みが持続する場合には、偽性腸閉塞も鑑別に挙がるかと思われます。

 偽性腸閉塞の原因として、神経疾患や自己免疫疾患(膠原(こうげん)病)が背景に存在しているかもしれません。

 数年前から症状が出現しており、経過が長いことから、前述のように腸管の炎症が関与して通過障害をきたしている可能性も考えられます。従って潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の除外も必要となります。

 そのためには、消化管精査として、上下部消化管内視鏡検査はもちろんのこと、小腸造影検査や小腸内視鏡検査(カプセル内視鏡検査やバルーン内視鏡検査)が診断に有用となることもあります。

 以上のことから、各種画像検査や内視鏡検査が受けられる大きな病院の消化器科を受診し、原因の精査ならびにそれに応じた治療を受けることをお勧めします。

関連記事