昨年第1子を出産した31歳女性です。妊娠36週目に「妊娠高血圧症候群」と診断されました。当時血圧が150まで上がったほか、胎児の成長も止まってしまい、絶対安静となりました。実は何が原因でそうなってしまったのか分からず、第2子出産時がとても心配です。どうすれば防げるのでしょうか? 食生活や生活サイクルなどで注意すべき点はありますか?(福井市、女性)

 【お答えします】折坂早苗・福井総合病院産婦人科医長

 ■次回妊娠での発症確率40%

 妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週から出産後12週の間に高血圧を発症する状態をいいます。ちなみに以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていました。妊婦さんの5%(20人に1人)に発症し、お母さんと赤ちゃんの双方に合併症を引き起こす怖い病気です。

 お母さんの血圧が140/90を超えると要注意で、重症化(160/110以上)すると、けいれん発作や脳出血、肝臓・腎臓の機能障害、出血が止まらなくなるなど、母体の生命に関わる合併症を引き起こすことがあります。

 また、赤ちゃんもお母さんの子宮の中で発育しづらくなる(胎児発育不全)、状態が悪くなり弱ってしまう(胎児機能不全)、胎盤がはがれて酸素が届かなくなる(常位胎盤早期剥離)—など、かなり危険な状態に陥ることがあります。

 妊娠高血圧症候群のリスクが高いのは、もともと高血圧や糖尿病、腎臓病を患っていたり、高年齢や肥満、多胎、初産だったりする妊婦さんです。また、前回の妊娠で妊娠高血圧症候群だった人が、次の妊娠でも妊娠高血圧症候群を発症する確率は40%といわれています。従って、相談者の方が次の妊娠で妊娠高血圧症候群を発症するリスクは、やはり高そうです。

 ■出産が一番の“治療”

 妊娠高血圧症候群の治療は入院安静がメインで、降圧剤や抗けいれん剤を使用することもありますが、妊娠を早く終わらせること、つまり出産することが一番の治療です。妊娠高血圧症候群を予防できるとよいのですが、残念なことに効果的な予防法は見つかっていません。

 一般的に妊娠中に食べすぎたり塩分を取り過ぎたりすると、肥満や高血圧につながるので避けたいところです。一方、極端なカロリー制限や塩分制限は、お母さんと赤ちゃんの双方に危険なことも知られています。

 ご家庭で血圧をチェックすることはとても重要です。高齢になるほど、妊娠高血圧症候群のリスクが上昇しますので、第2子を早めに妊娠し、妊娠後はご自分で血圧をチェックしながら、かかりつけの医師にきちんと健診してもらうことが、最も良いのではないでしょうか。

 妊娠高血圧症候群を発症した女性は更年期以降に高血圧や脳卒中、心筋梗塞、糖尿病といった生活習慣病にかかりやすいといわれています。出産後も定期的に体のチェックをし、食事や生活習慣への注意を続けることが、健康で楽しい老後を過ごせる鍵になります。頭の隅に置いてくださいね。

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