ここ1カ月ほど首を左方向に伸ばすと、肩から肩甲骨にかけての筋が痛いのですが、寝違えたにしては治りが遅いように思います。押してもあまり痛みはなく、首を動かすときに限って強い痛みがあります。近所の接骨院で診てもらったり、湿布を貼ったりしても一向に良くならず心配です。(福井市、43歳男性)

【お答えします】上田康博 福井県立病院整形外科医長

■肩こりや頚椎疾患の疑い

 ご質問の訴えが首を動かすときに生じる肩甲部痛であることから、肩こりや頚椎(けいつい)疾患が疑われます。「肩こり」とは首すじ、首のつけ根から肩または背中にかけての張りや痛みといった症状をいいます。

 主な原因は首や肩、背中の筋肉の疲労です。関係する筋肉はいろいろありますが、首の後ろから肩、背中にかけてある僧帽筋(そうぼうきん)という幅広い筋肉がその中心となります。筋肉が疲労して硬く緊張し血行が悪くなると、乳酸などの疲労物質が筋肉にたまり、こりや痛みを生じます。

 肩こりは単に筋肉の疲労から生じるものもあれば、頚椎椎間板ヘルニアなど頚椎の病気や、五十肩などの肩関節の障害などが原因となることもあります。頚椎椎間板ヘルニアとは、首の背骨をつなぐクッションの役目をしている椎間板が加齢などで変性し、中身(髄核)が突出しておこります。椎間板ヘルニアが、脊髄から枝分かれした神経根を押さえることで神経痛を生じます。

 頚椎椎間板ヘルニアによる神経痛の典型的な症状として、(1)首を斜め後ろにそらすことで肩甲部や上腕から前腕、手指に痛みが生じる(2)しびれや感覚が鈍くなる(3)力が入りにくくなる—などがあります。椎間板ヘルニアなど頚椎の病気では、マッサージや整体などで強い力が加わると症状が悪化することもありますので、医師の指導のもとに行うのが大切です。

■自律神経失調症、眼精疲労などでも症状

 五十肩など肩関節の障害の場合は、手を上げるなど関節を動かすと痛みが生じ、関節の動きが悪くなります。このほか、首や肩以外の病気、例えば高血圧や心臓病、更年期障害、自律神経失調症、眼精疲労、精神的なストレスなどが原因で肩こり様の症状が現れることもあります。

 肩こりに対する急性期の治療は、痛み止めの内服・注射・シップ剤や首の安静(無理に動かさない)を保つことが適切です。慢性期には硬くなった筋肉を軟らかくするためには(1)肩こり体操や筋力訓練などの運動療法(2)ホットパックで温めるなどの温熱療法(3)痛み止めや筋緊張緩和剤注射—などの薬物療法が一般的です。

 日常生活における肩こりの予防法として、パソコン操作など同じ姿勢を長く続けず、適度な運動や体操をする、入浴や蒸しタオルなどで肩を温めて筋肉の血行を良くし、疲労をとることなどが大切です。

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