共同通信の中東特派員として取材してきた国々の現状を語る津村さん=19日夜、福井市中央1丁目のコワーキングスペース「sankaku」

 紛争が続く中東を取材してきた共同通信記者の津村一史さん(36)=東京=を招いた講演会が19日夜、福井市のガレリア元町商店街にあるコワーキングスペース「sankaku(さんかく)」で開かれた。津村さんは荒廃した町並みや悲しみに暮れる難民の写真のほか、内戦が本格化する前のシリアの風景を紹介。「シリアは本来、美しい国。日本と同じように穏やかに暮らしていた人々が、今は暴力に苦しんでいることを知ってもらいたい」と訴えた。

 津村さんは2015年4月までの約3年間、カイロ支局員として「アラブの春」以降の中東を取材した。過激派組織「イスラム国」(IS)が本拠地を置くシリアやイラク、トルコなどの危険地域に足を運び、紛争の様子や現地の生の声を記事にしてきた。

 特にシリアは、アサド政権側と反体制派の内戦にISが介入しているため、津村さんは「だれが敵か味方か分からない状況」と述べた。取材中に銃撃を受け、必死に身を隠したこともあったという。不法に国境を越えてトルコに逃げる難民を、治安部隊に見つからないように撮影した写真は手ぶれしたものもあった。

 内線が本格化する前、観光地や公園でくつろぐ家族連れや若者たちの写真も紹介した。「数年前までは日本と変わらない平和な風景があった」との津村さんの説明に、約30人の参加者は戦争によって幸せが一瞬にして奪われた事実を受け止めていた。

 講演会は、福井新聞まちづくり企画班が参画する、まちづくり会社「福井木守り舎」が開いた。

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