福井のまちが面白くなるアイデアを県内9市の担当記者が膨らませる連載「空想まちづくり」。先日の「提案編」「根拠編」(下記リンク)で紹介した空想を仮に実現させるとしたら、どんな壁があって、どうすればクリアできるのか。「調査編」として考察する。

   ×  ×  ×

 福井市について提案した空想は「JR福井駅西口を森にする」。森の歩行者空間にしたいエリアは、合計で約4万5千平方メートルある。西口広場や福井駅前電車通り、市道県庁線は福井市が管理する。中央大通りなどは県の所管だ。

 市道路課に空想をぶつけると、「道路を森にすることについて法令の解釈さえ成り立てば、運用上の判断で対応できる可能性はある」と意外にも? 前向きな答えが返ってきた。行政が土地利用のルールとして定める都市計画の上では、車道を歩行者専用道路に変更し、公園のように使う方法が考えられるという。

 地面を土に返すためアスファルトを撤去する大規模工事の費用は、同課の見立てを参考にすると1億数千万円。植樹も含めると整備費はもっと膨らむ。現実的には、まずエリアを小さく絞って始めるやり方かもしれない。

 整備は官に動いてもらうしかないとして、運営には民の力が必要だろう。ある市職員も「行政主導だと予算やスケジュールでがんじがらめになりがち。まちに愛着を持つ人たちに当事者意識で運営してもらうのが一番いい」。

 例えば、民間団体が市に使用料を払って森のエリアを運営。ツリーハウスや工房の出店料などで収益を上げ、維持管理費を賄う形だろうか。福井駅前五商店街連合活性化協議会の加藤幹夫会長は「居心地のいい空間なら自然と人が訪れ、店も集まる。税収にもつながるのでは」と受け止めた。樹木の命名権を販売し、管理費に充てる仕組みも考えられる。

 運営主体に浮かぶのは、市の第三セクターまちづくり福井。市の道路占用許可を得るのに有利な「都市再生推進法人」に指定されている。同社幹部に話すと「理屈の上では可能。ただ、コストに見合った事業収入が出るかどうか」と、採算性を課題に挙げた。

 福井城址(じょうし)を生かすための県庁舎移転は、2050年までの実現が県都デザイン戦略に明記されている。福井経済同友会は昨年3月、新栄商店街かいわいでの県庁と市役所両庁舎を統合した新庁舎建設を提言して県民議論を促した。ただ、県政策推進課によると「まだ具体的な検討に至っていない」段階だ。

 庁舎新築には巨額の公費を要する。仮にアオッサ内に移転するなら、その建設財源でおそらく数十年分の賃料を賄える。しかも県は既に床の一部を所有している。既存ストックの有効活用で、まち全体のコスト節約につながりそうだ。(細川善弘)

 記者はこう見る 実現可能性35%

 各方面から意見をいただいた中には、「福井が持つオリジナリティーを踏まえていない」との指摘もあった。それでも、現実から飛躍した空想に一定の理解をもらえたのは、歴史や地域性に基づいた従来のまちづくり構想に対して閉塞(へいそく)感を抱いている人が多いからだろうか。運営や採算性の課題は、知恵を集めれば解決の道がありそう。ただ、まずは、政治の意思がないと公共空間の大胆な活用は望めそうにない。(細川)

   ×  ×  ×

 「福井・調査編 JR福井駅西口を森にする」概要

 JR福井駅西口一帯の広場や道路を森にする。たくさんの樹木を植えた歩行者最優先の公共空間。木の上にはツリーハウスのカフェや宿があって、ハウス同士やビル2階を空中通路で結ぶ。森の中では伝統工芸の若手職人らがミニ工房を構え、雑貨や生活用品を販売。県庁は駅東口のアオッサ内に移転し、跡地の福井城址(じょうし)はキャンプ場に。将来的には足羽川、足羽山方面へと森を延ばし、駅西口と一体化した緑と憩いのエリアをつくる。(詳細は下記リンクより)

 【意見募集】

 連載「空想まちづくり」の感想、ご意見を募集しています。連載は福井新聞ホームページからもご覧になれます。社会部=電話0776(57)5110、FAX0776(57)5145、メールはmachidukuri@fukuishimbun.co.jp

関連記事