ランチを楽しむ光景が見られる平日昼の新栄テラス。事業継続には課題が横たわる=10月22日、福井市中央1丁目

 「ぜひ継続させたいんですが、どうしたらいいでしょうか」。福井市の新栄商店街のコイン駐車場を期間限定で広場化する「新栄テラス」。昨年度の初の社会実験を受けた3月の成果報告会で、広場を企画した福井大の学生は頭を悩ませていた。

 「え、また元に戻っちゃうんですか?」「ずっとこの場所があればいいのに」。子連れの母親や若者ら、テラスを訪れた人のほとんどが、そんなふうに口にする。誰もが気軽にくつろげる憩いの広場。まちに求められてきた場所のはずなのに、期間限定にとどまっているのは、なぜか。

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 まず現実的に課題となるのは、事業としての採算性だ。

 コイン駐車場は、事業者が地権者から土地を賃借して運営している。借りて広場にするには、見合った賃料を事業者に支払う必要がある。その賃料をまかなうだけの収入が得られなければ、広場の自立的な運営につながらない。昨年度の実験は市や大学の予算を充てた。報告会では、まちづくり団体メンバーから「テラスの場所貸しを行って、利用料を集めてはどうか」との提案が上がっていた。

 今年の実験は大学の予算を活用しながらも、イベント利用が1日5千円、3カ所設けた出店区画は1日2千円で貸し出す仕組みを取り入れた。一般の申し込みは10月2日から11月1日までの期間中、イベント4件と出店5件(28日現在)。同大の原田陽子准教授は「事業者に支払う賃料のすべてを利用料でまかなうには、もっと工夫が必要」と打ち明ける。

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 もっと根本的な問題として、広場を継続する場合の事業主体が見えていない。福井市は「ハード整備は行政でできるが、運営は民間の方が持続可能性がある」(都市整備室)とのスタンス。地元店主グループで自立運営できるのが確かに理想だろう。

 周辺店主は、広場自体に賛成でも「地元に“丸投げ”されても困るんだけど…」と身構える人が多く、既存の駐車場が使えなくなることへの不満も一部にある。ただ、売り上げ増や顧客開拓など店主側のメリットが明確になれば、運営の負担を地元で分かち合うという道も開けそうだ。

 「いろんな立場の人がいるからね」とは、まちづくり団体でも活動する地元事業者。「でも『自分たちがやる』って、誰かが言いださないと始まらないよね」と実感を込めた。(細川善弘)

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