春ごろから、まっすぐ歩いているつもりでも、右か左に寄ってしまうことが多々あります。気付かないうちに歩道から車道の方に行ってしまうこともあり、交通事故が心配です。これとは別に6月ごろ、頭痛が続いて頭部のCTスキャンを撮りましたが異常はなく、頭痛は自然と治まりました。まっすぐ歩けないのは、老化で平衡感覚が鈍くなっているのか、運動神経に異常があるからでしょうか。(福井市、82歳女性)

【お答えします】須長寛 福井赤十字病院 耳鼻咽喉科部長

■運動失調の可能性

 まっすぐ歩くことができないとのことですが、意図する動作がうまくできない状態であり、運動失調と考えられます。歩行動作を行うためには▽まず頭で歩くという意志が生まれ▽身体が正常なつり合い、平衡を保っている状態にあって▽歩くという命令が神経を通して足腰に伝わり▽歩行に関する筋肉が協調して動くことで、意図した歩行動作が成し遂げられます。

 つまり、運動失調を起こす原因には頭の中の異常で生じるもの(大脳性、小脳性)や、平衡機能の障害(前庭性、脊髄性)や、足腰の筋肉の異常が考えられます。他にふらつく感覚がしても、実際にはふらついていない場合(心因性)がありますが、今回のご相談では実際に車道の方にはみ出しているので、何らかの機能異常があるものと思われます。

■原因はさまざま、診察・検査を 

 今までに大きなめまいの既往歴はありませんでしょうか? 耳の奥の三半規管の機能が大きく妨げられると(前庭障害)、歩行時にふらつくという後遺症となることがあります。

 また、膝関節や股関節、足腰の筋肉や腰に痛みはありませんでしょうか? うまく力が入れられず、よろよろしているのかもしれません。

 頭の中の障害や神経機能の障害では、その原因によって特徴的な歩行障害が見られます。足を突っ張って動かす歩行(痙性(けいせい)歩行)、片足が動かない歩行(麻痺(まひ)歩行)、ちょこちょこ歩くような歩行(パーキンソン歩行)、お酒に酔ったようなふらついた歩行(酩酊(めいてい)歩行)、つま先が上がらないような歩行(鶏歩(けいほ)歩行)などがあります。

 今回のご相談では、どのような歩行状態でまっすぐ歩けないのかを見せていただく必要があり、必要に応じて神経学的な検査や頭部MRI検査、三半規管、足腰の機能検査などが必要になると思われます。まずは、かかりつけ医にご相談され、適切な専門科へご紹介いただくことをお勧めします。

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