1歳3カ月の孫はよく風邪をひき、せきや鼻水がひどく、40度を超える高熱を出します。かかりつけ医にはいつも風邪と中耳炎と診断されます。風邪の症状と耳が痛いのとで泣いてぐずります。保育園も休みがちです。中耳炎でたまった膿(うみ)を鼓膜切開で出す治療法があるとのことですが、幼い子には何だか怖くてやりたくないのが本音です。中耳炎になるたび鼓膜切開するのも心配です。このような状態は続くのでしょうか、大きくなれば治るのでしょうか。(福井市、女性)

 【お答えします】清水良憲・福井県済生会病院耳鼻咽喉科主任部長代行

 ■乳幼児に頻発の傾向

 近年、2歳未満の乳幼児に、治りにくく、再発しやすい中耳炎が増えています。中耳とは、鼓膜の奥の部分で、音を伝える小さな骨のある空間を指します。耳の穴とは直接つながっていませんが、耳管という管を通じて鼻の奥とつながっています。中耳炎は、耳管を通じて鼻の中の細菌が中耳に移り、炎症を起こすことで発症します。

 乳幼児が中耳炎になりやすいのは、四つの理由があります。一つ目は低年齢でまだ身体の細菌に対する免疫が十分ではないこと。二つ目は小児の鼻と耳をつなぐ耳管は短く、相対的に太いため鼻の細菌が耳に移りやすいことが挙げられます。

 三つ目は集団保育の低年齢化により、乳児期のうちに周囲から細菌をもらって、鼻の奥に細菌がすみつくようになったこと。四つ目は近年の不適切な抗菌薬の乱用により、「耐性菌」という抗生剤の効きにくい菌が乳幼児を中心にまん延していることです。

 今回の相談も、恐らくこれらの原因により中耳炎を繰り返しやすい状態になっていると考えられます。2歳を過ぎると免疫が発達して中耳炎にはなりにくくなりますが、それまでの治療が重要です。

 ■細菌検査し、処置検討を

 まずは鼻の奥の細菌を調べて、耐性菌かどうかを確認し、適切な抗生剤を飲んでもらうことが必要です。それでも繰り返す場合には「鼓膜切開」か「鼓膜換気チューブ挿入術」という処置で、中耳の膿を抜いて細菌が増えにくい状態にします。

 鼓膜切開は心配とのことですが、熟練した耳鼻科医が適切に行えば後遺症を残すことはありません。むしろ、鼓膜は1回切開してもすぐにふさがるので、再び細菌が繁殖しやすくなってしまいます。

 この状態を避けるため、鼓膜切開の効果を持続させる処置が、鼓膜換気チューブ挿入です。乳幼児は全身麻酔で行うこともあります。後遺症として、鼓膜に開けた穴がふさがらない場合がありますが、近年は後遺症を残しにくい鼓膜チューブを使うことが増えており、必要に応じて検討する価値のある治療法です。耳鼻咽喉科専門医にご相談ください。