休日のJR福井駅西口。空き店舗率は改善してきた=6月28日、福井市中央1丁目の福井駅前電車通り

「これからビル」のプレオープンイベントで竹本さん(右から3人目)の言葉に後押しをもらった=6月28日、福井市中央1丁目

これからビルは小さな「点」にすぎないが、つながればエリアは変わる

 福井新聞本紙連載「まちづくりのはじめ方」企画班が参画する福井木守(きまも)り舎(しゃ)の「これからビルディング」は5日正午、1階飲食店の開業をもって福井市のガレリア元町商店街にオープンする。まち全体で見れば、小さな点にすぎない。ただ、自分たちにとっても、訪れてくれる人たちにとっても、そこから新しい一歩を踏み出せる場所にしていきたい。そして、その小さな一歩から、福井のまちや暮らしに変化を起こしていきたい。「まちは自分たちでつくる」。連載に込めた思いを、あらためて胸に刻みながらー。

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 「これまでにない“神風”が吹いている」。ある商店街関係者が口にした。それほど、さまざまな動きが今、JR福井駅西口周辺で出ている。

 代表格は、「美」を統一テーマに空き店舗への出店を促す「美のまちプロジェクト」。3月にエステや整体など計11店舗が開業、今夏中に6軒が続く。次々と集客イベントを打ち、活気を生んでいる。

 「シャッター通り」を象徴してきた新栄商店街。店主グループが4月、「ハカセ通り」と名付けた裏路地で音楽やアートのイベントを開き、話題を呼んだ。チーズ専門店やオーガニックカフェといった個性的な店舗も増えている。

 2割程度で推移してきた中央1丁目の空き店舗率は、3月現在で16%台に改善。歩行者通行量も上向きの兆しだ。

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 「これからビル」のプレオープンイベントで乾杯の発声をお願いしたのは、「美のまちプロジェクト」代表の竹本祐司さん(32)。「新しい物事が生まれるときには、必ずリスクと覚悟を背負う先駆者がいる。これからビルのオープンは、駅前でリノベーションに挑戦しようとする人の背中を押す」。誰よりも覚悟をもってプロジェクトを引っ張る竹本さんの言葉だけに、あらためて身が引き締まる。

 「木守り舎も地元を支えるメンバー。期待してますよ」。まちの変遷を目の当たりにしてきた元町商店街協同組合の木本茂樹理事長(52)。借り手が付かない古い物件が増えた中、最小限の投資で使い方を変えるリノベーションの手法に期待は大きいという。「1号店としてぜひ成功させて、駅前全体に動きを広げてほしい」

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 6月のリノベーションスクール@福井。受講者による3日間の集中議論で、二つの遊休物件を対象にした事業計画が生まれた。まちの未来やこれからの暮らしを考え、行動を起こす熱意が集まり、うねりになった。スクールを取り仕切った建築家の嶋田洋平さんは「みんなで同じ方向を向いて、まちを再生しながら地域を守っていこう。そうすれば、福井の未来は明るい」とエールを送った。

 スクールの事業計画は今後、実現に向けて真剣に検討が進む。これからビルと二つの物件は歩いて数分の距離。公園や公道といった公共空間を生かすアイデアも共通している。三つの点がそれぞれに光を放ち、すでに生まれつつあるまちの活気と結びつく―。そんなエリアの未来像が、夢ではないところまで来ている。(細川善弘、高島健)=おわり=

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