これからビルの3階には、DIYによる空間づくりに向けて部材が運び込まれている=2日、福井市中央1丁目

リノベーションスクールの関連イベント。クリエーターが集まることで福井に何ができるか考えた=6月20日、福井市中央1丁目の福井北ノ庄クラシックス

これからビルの現場で打ち合わせをする大工の五十嵐さん。DIYの頼もしい助っ人だ=6月19日

 これからビルディングの3階「サンカク」は、異なる職業の人たちが仕事場を共有するコワーキングスペースとして、1カ月ほどかけて手作りで仕上げていく。デザイナーや設計士、アーティスト、会社員、そして新聞記者…。さまざまなスキルと情報が交わるこの場所で、新しいビジネスやまちづくりにつながるアイデアを生みだしていきたい。福井に暮らし、福井を思う若者たちの意識とやる気が詰まった「集合知」は、地方の課題に対する新しいアプローチになる。

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 薄汚れたコンクリートがむきだし。天井には、さびで赤茶けた鉄パイプや針金が所々にぶら下がっている。このままじゃ、仕事場としては使えない。

 設計は、1階飲食店と同じ福井市の建築士丸山晴之さん(43)が担当。コワーキングスペースの機能を考慮し、設計図には正方形の小さめのデスクが複数描かれていた。利用者が状況に応じて机をくっつけたり、離したりしながら自由に議論や仕事ができるように、というわけだ。

 まちづくり会社「福井木守り舎(きまもりしゃ)」の予算は潤沢とはいえず、工事はDIY(ドゥ・イット・ユアセルフ=日曜大工)が前提。壁はペンキで塗るだけ、床は現状の質感を生かすつもり。ポイントとなる机も手作りだ。本紙企画班が中心となって、少しずつ作業を進めていく。

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 6月のリノベーションスクール@福井に合わせ、福井市内で開かれたトークイベント。東京でデザイナーや建築家らクリエーター専門のシェアオフィス「co―lab」(コーラボ)を運営している田中陽明さん(44)=同市出身=は「福井のクリエイターには実力がある。あとは集まる場所が必要」と語った。

 co―labは、企業体でも、フリーランスの紹介所でもない。350人超の人材が依頼に応じてチームを組み、商品開発や新たな企画に取り組んでいる。田中さんは「福井にco―labのような場所ができたら、たとえば伝統工芸の職人らとコラボしてハイレベルな発信ができる」。

 サンカクが目指すべき場所を、田中さんはすでに東京につくっている。思い切って助言を求めると「一度、見に来ませんか」と誘ってくれた。

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 「人口減少社会なのに新しい建物をどんどん建てて、いいのだろうか。使い手が建物に手をかけながら、愛着をもって長く暮らす方がきっと豊かな生活だと思う」。越前町の大工、五十嵐亮さん(38)はDIYの普及を目指し、新しい大工像を模索している。取材を機に意気投合し、3階の空間づくりの助っ人を快諾してくれた。

 五十嵐さんは、段取りよく作業工程をまとめるだけでなく、節目には塗装や木工が学べるワークショップを開こうと提案。「DIYを通じて人と接点を持つことは、自分がやりたいことにつながる」と、3階で新たな挑戦を始めようとしている。

 まさに呼び込むべきクリエイターの一人。工事の段階から仲間を募って楽しくやろう。思いの詰まった理想の空間に近づくはずだ。(高島健)

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