「sumu」のジャーサラダ。ドレッシングに福井市越廼地区のイカへしこオイル漬けを取り入れる

入り口近くにソファ席をつくった「sumu」店内。リビングをイメージした空間が整った=6月30日、福井市中央1丁目

田邊取締役(左)と大町店長。プレオープンイベントの合間にひと息=6月28日

 コンクリート壁の無機質さと木のぬくもり。そんなコントラストが特徴的な空間になった。灰色の天井からぶら下がったペンダントライトが、木目の真新しいテーブルを温かく照らす。とろとろの卵やベーコンを合わせたエッグベネディクト、果物や野菜を低温で搾ったコールドプレスジュース…。スタッフたちがメニューを磨くカウンターキッチンから、おいしそうなコーヒーの香りも漂ってきた。カフェリビング「sumu」(すむ)の昼下がり。5日のオープンを前に準備は追い込みに入っている。

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 「味にインパクトがあって調味料としてアクセントになる。特に淡泊な食材との相性はいい」。飲食部門のアドバイザーに迎えた坂井市出身の小川智寛シェフ(42)=東京=が、ある食材に着目した。福井市越廼地区のイカへしこオイル漬け。地区独自に製法を受け継ぐイカへしこを、そぼろ状にしてオリーブオイルに漬けた加工品だ。「まちづくりのはじめ方」企画班の野外レストラン「フードキャラバン」で取り上げ、癖になるような塩辛さが好評だった。

 sumuでは、密封ガラス瓶に野菜を積み重ねるジャーサラダのドレッシングに。「福井には、知られていないけれど素晴らしい食材が多い。さりげなく取り入れ、おしゃれな料理を提案していきたい」と小川さん。メニューは女性を意識し、充実させていく考えだ。

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 「まちのリビング」をイメージした店内。2台並んだダイニングテーブルには大きなガラス窓から光が差し込み、隣の広場を眺められる。入り口側には、2人掛けテーブルを3台。ソファ席のゆったりした居心地は、なかなか格別。

 こだわりの家具を提供してくれたのは、同じガレリア元町商店街で6月に開業した「オシャレハウスプロジェクトチーム THE WOW FUKUI」。家具を展示した中で工務店と住宅建築の打ち合わせができるショールームだ。企画者で、家づくりのコンサル業を手掛けるクリエイティブプロデューサーのタブチキヨシさん(東京)は「まちに新しい風を吹かせようとする志に協力したいと思った」。こうした事業のコラボが今後も各方面でできれば、新しい企画が生まれるきっかけになりそうだ。

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 「地域に根差した公共的な店にしていきたい」。福井木守(きまも)り舎(しゃ)の飲食部門を受け持つ田邊豊取締役は、まちに住んでいる人が集まり、住む人が増えていくきっかけにと考えている。「福井のまちが市全体として生き残るためには、中心市街地への集約が大事」

 店長に抜てきされたのは、赤色フレームの眼鏡がトレードマークの大町哲哉さん(30)=福井市。これまでアパレル店や商店街の事務局で働きながら、JR福井駅西口周辺の生の空気を感じてきた。「20~40代の男女が増えないとまちに元気が出ない。誰もやっていない新しい挑戦がしたい」と、木守り舎の社員になった。接客経験は豊富。アルバイトスタッフとともに「憩いの場として、ここに来ればリラックスできるという空間をつくる」と張り切っている。(細川善弘)

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