福井市中心市街地にある遊休物件を活用した事業計画を提案するリノベーションスクールの受講者=21日、同市中央1丁目の加藤ビル

 遊休不動産の活用で、まちの再生を目指す「リノベーションスクール@福井」は最終日の21日、福井市中央1丁目の二つの物件を対象に受講者が考えた事業計画の公開プレゼンテーションを行った。柴田神社近くの5階建てビルは「女性が楽しめる新感覚のスナックや宿泊所などの複合施設に」、新栄商店街の写真館は「公共空間である路上も活用するパブに」―。3日間にわたって楽しみながらも真剣に考え抜いたエリアの未来像を会場全体が共有し、まちが変わる期待と熱気に包まれた。

 19日に始まったスクールは、県内外の受講者18人が物件ごとの2グループに分かれ、まちの現状や建物を調査。昼夜を問わず、エリアの価値を高める事業計画を練ってきた。福井市の加藤ビルで行われた公開プレゼンは、物件オーナーに収支も含めた事業計画を提案し、実際の事業化への道筋を見いだす場。一般の市民ら約120人が見守った。

 5階建ての「ニシワキビル」は、柴田神社ゆかりのお市の方にちなみ、ターゲットを女性に絞った。事業名は「スナックランド」。内装をそのまま生かし、働く女性が一人でも行けるスナック型の店舗を集める。「ライブラリースナック」「ハーブティースナック」といった例を示して“一日店長”も受け入れるとした。元ダンスホールはフリースペースとし、ビルオーナーが住む4階は住居を旅行者に貸し出す宿泊形態「エアビーアンドビー」を取り入れる。

 講師陣は「建築は、ほぼ変えずに『人と使い方』だけを変えてビルを再生するアイデアが秀逸」などと評価。ビルオーナーの小西裕子さん(54)は「受講者の皆さんの『一緒にやりましょう』という言葉がうれしかった」と、事業化を前向きに考えていた。

 新栄商店街のアップルロード側にある写真館「東光軒」は、1階でアンティーク調の照明やドアを生かしたパブ、2階でダーツとビリヤードの遊戯場を運営する事業者を呼び込む計画。「パブリックジャック」と銘打ち、行政と連携して店舗前の路上でたる飲みを始め、周辺にも公共空間の活用を広げていくと提案した。

 終了後、受講者たちは涙ぐみながら達成感を分かち合い、もらい泣きする物件オーナーもいた。住宅建築業勤務の黒川真行さん(36)=福井市=は「地方でもいろんなことに挑戦できると感じた。メンバーと事業化できる体制を探っていきたい」と興奮冷めやらぬ様子。主催したまちづくり福井は「今後も事業化まで、しっかり支援していきたい」としている。(細川善弘、高島健)

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