リノベーションスクールの受講者が事業計画を練り上げるビルの3階にある元ダンスホール=19日、福井市中央1丁目

 19日に始まったリノベーションスクール@福井は、実際の遊休物件を対象に事業計画を練り上げる。学びの場でありながら事業を実践に結び付けるのが前提だ。3日間という限られた時間で、事業計画づくりを通してエリアの未来像を描くため、受講者たちは福井市の中心市街地に繰り出し、建物や街並みに真剣なまなざしを向けた。

 福井県内外から集まった受講者18人は、20~30代が中心。まちづくり団体メンバーや建設・不動産業の経営者、学生、公務員ら多彩な顔ぶれ。開校式では、スクールを取り仕切る「スクールマスター」の建築家、嶋田洋平さんが「勉強する場じゃない。自分の頭で考えて、自分で事業を生みだしてほしい」と呼び掛けた。

 対象物件の一つ、新栄商店街のアップルロード側にある写真館「東光軒」は築66年の木造2階建て。1階に店舗と暗室、2階には撮影スタジオと応接室がある。高度経済成長期には、成人式などの記念写真を撮影しに大勢の人が訪れていたという。

 もう一つの物件は、柴田神社と駅前南通りの間に位置する築40年の5階建てテナントビル「ニシワキビル」。居酒屋やスナックなど大小10店舗がかつて入居していたが、2011年ごろにほぼすべてが空きフロアとなった。3階にはミラーボールが残された元ダンスホールの大空間もある。

 受講者は、リノベーションの先駆者でもある建築家の馬場正尊さん、大島芳彦さんとともに周辺商店街の状況を調査。建物内を見学し、物件オーナーから今後の活用に関する希望などを聞き取った。主会場の加藤ビルでは、まちに求められる事業内容や建物の使い方についてアイデアを出し合った。

 福井市の不動産会社に勤務する東野恭太さん(26)は東光軒を見学し「レトロな雰囲気を生かして、まちから離れた人を呼び戻したい」と意気込んでいた。

 現在もニシワキビルに住居があるビルオーナー、小西裕子さん(54)は「固定資産税の支払いが大変でビル売却も考えたが、売値が安すぎて売るに売れずに困っていた。親が残してくれたビルにできれば住み続けたい」と、受講者のプランに期待していた。

 事業計画を話し合う合間には、ライブアクトと呼ばれる専門家の講義も。初日は嶋田さんと馬場さんが実例を交えながら「建物だけでなくモノやコトの関係性をデザインすべきだ」などと発想のヒントとなる考え方を示した。(細川善弘、高島健)

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