リノベーションまちづくりの可能性について語る嶋田氏=5日夜、福井市のアオッサ

 遊休不動産の活用によってまちを再生するノウハウを学ぶ「リノベーションスクール@福井」(まちづくり福井主催、福井市、福井駅前五商店街連合活性化協議会など共催)が19日から3日間、福井市中心市街地で繰り広げられる。全国各地で開かれてきたスクールの合言葉は「まちにダイブせよ」。福井でも若者ら受講者たちが、まちにどっぷりつかりながら将来像を思い描き、実在の空き物件を使って事業計画を立てる。スクールを前に、県内外の専門家の考えや関連イベントの内容を4回シリーズで紹介する。初回は、スクールを取り仕切る「スクールマスター」の建築家、嶋田洋平氏(東京)が5日に同市内で行った講演の要旨を通し、全国に広まっているリノベーションまちづくりの可能性を探った。(高島健)

 ■オーナーの意識改革を

 4畳半の古い木造アパートが、起業したばかりの人にとっては手頃な事務所スペースになる場合がある。リノベーションは建物の見方を変えて、新たな価値につながる使い方をするということ。

 あとは、不動産オーナーが使い方の変更を認めてくれるかどうかだ。自宅がある東京都豊島区の知人から、築45年のマンションをリノベーションしてほしいと相談を受けたとき、入居者が自由に壁紙などの内装を変えてもいいマンションにすることにした。物件のオーナーには、同様の取り組みを進めているマンションを見学してもらった。

 豊島区は民間団体「日本創成会議」が昨年発表した消滅可能性都市の一つだが、このマンションは六つの空室を再生し、カップルや30代女性ら7人が区外から移り住んだ。不動産オーナーが考えを変え、建物の使い方をちょっと変えるだけでエリアの課題解決につながる可能性がある。

 ■新しい建物はいらない

 建築家はこれまで建物を設計して造ることが仕事だったが、人口減少が始まり空き家が増える中、新しい建物を造る必要はない。人と既存の建物の豊かな関係を再構築することが仕事になる。建物のデザインではなく、「モノ」と「コト」の関係性をうまくデザインする。それによってお金も動き始めるし、空き家も使われ始める。

 リノベーションのような小さな仕事が増え始め、建築の仕事の境界線はとけ始めている。今までユーザーは使うだけだったが、デザインにもどんどん入ってきている。

 ■エリアの価値上げよう

 自分のしたい暮らし、住みたいまち、欲しいサービスは自分たちでつくるべきだ。行政の財政は非常に厳しく、もう頼るべきではない。小さくてもいいから民間でビジネスを始めた方がいい。そうすれば共感する客や出資者が現れ、地域にお金の循環が生まれる。民間事業であっても公共の一翼を担える。それによってまちは変えていける。

 不動産のオーナーは、自分の建物に価値があると思っているが、そうではない。価値はエリアにある。家賃が下がっているのは、エリアの価値が下がっているということ。遊休化した建物を上手に使えば、次第に人が集まるエリアになり、家賃が上がって、不動産の価値も上がっていく。

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