復原町並で伝承料理「朝倉膳」を味わう参加者=13日夜、福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡

 福井新聞連載「まちづくりのはじめ方」の関連イベント「ふくいフードキャラバン」が13日、福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡周辺で開かれた。地元の主婦グループが受け継ぐ伝承料理「朝倉膳」にスポットを当て、参加者約30人が調理の一部を体験。武家屋敷などを再現した「復原町並」にしつらえた食卓で、歴史ロマンを感じながら素朴で豊かな味を満喫した。

 キャラバンは、連載を担当する記者が県内各地に出向いて地元の人たちとつくり上げる野外イベントで、昨年度は4カ所で開いた。福井が誇る食文化や伝統工芸の見せ方を工夫することで、地域の魅力を再発見してもらうとともに県内外に発信するのが狙い。

 本年度第1弾となる「一乗谷キャラバン」は、一乗地区と隣の東郷地区の有志で進める「一乗谷・東郷魅力体感プロジェクト」に連動する形で企画した。

 朝倉膳は、浄土真宗の行事「報恩講」や地元の法事で振る舞われてきた精進料理。2004年に結成した「一乗ふるさと料理クラブ」の女性7人が、時代の流れの中で失われつつある味を守っている。戦国武将の朝倉義景が京都の足利義昭をもてなした際の料理の一部も再現している。

 参加者はまず、朝倉膳を代表する料理「呉汁(ごじる)」の調理を体験した。2日かけて水で戻した大豆を約1時間かけてすりつぶす丁寧な調理法が特徴。クラブ員から手ほどきを受けながら懸命にすりこ木を回すと、大豆は真っ白な生クリーム状に。温かいみそ汁に入れるとふんわり泡立ち、大豆の風味が広がった。

 復原町並に設けたテーブルは、野花をあしらいコーディネート。夕暮れに合わせて食事を始めた。東郷地区の会社員、高嶋宏和さん(39)が手作りしたひょうたんのランプやろうそくの柔らかな明かりで会場を演出した。

 食事の前には、朝倉氏遺跡保存協会の岸田清会長が、遺跡の見どころや朝倉氏にまつわる数々の歴史エピソードを解説した。

 大阪府から参加した大学生の森友香さん(21)は「歴史に触れながらロマンチックな雰囲気で食事を楽しめた。手間暇かかった料理にありがたみを感じ、福井の食に興味がわいた」と満足した様子。料理クラブ会長の高木すみ子さん(81)は「口伝えで守っている一乗の味を『おいしい』と言ってもらえることが励みになる。また一乗に朝倉膳を食べに来てほしい」と話していた。

 キャラバンは今後も続ける予定。取り上げた食材や伝統工芸は、企画班が福井市中心市街地で取り組むまちづくりに生かすことを目指している。今回の様子は動画にまとめ、福井新聞社のホームページで公開する。これまでのキャラバンの動画も発信している。(高島健、細川善弘)

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