フードキャラバンの第2幕は一乗谷朝倉氏遺跡からスタートする=5月20日、福井市城戸ノ内町

フードキャラバンの主役は「一乗ふるさと料理クラブ」の女性たち。チームワークは抜群=福井市東新町の一乗ふるさと交流館

手間ひま惜しまず作られた伝承料理「朝倉膳」。食の力でまちづくりにつなげたい

 「まちなかでの飲食店づくりを通じ福井の豊かな食文化や伝統工芸に光を当て、にぎわいにつなげたい。その前に、自分たちが地域の魅力を熟知しなきゃいけない」。そんな思いから始めた福井新聞まちづくり企画班の独自イベント「ふくいフードキャラバン」。昨年、多くの人に支えられて県内4カ所で開くことができた。福井市中心市街地での「ふくいこれからビルディング」事業に挑む一方で、地道にこのイベントは続けていこう。地域の魅力を掘り起こし続けることが、新たな挑戦の強力な“武器”になると信じて。(高島健)

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 「過度なおしゃれ感はすぐに飽きられる。フードキャラバン第2幕は、福井の食のどっしりとした実力を見せていきたいね」。フードキャラバンは参加者が地域の人たちと交流しながら、その地域ならではの食を体感してもらう野外イベント。福井の地味なイメージを変えたいと、テーブルコーディネートに工夫を凝らしたり、スタイリッシュなPR動画を製作したりしてきた。4月上旬、キャラバンのアドバイザーを務める料理研究家の佐々木京美さん(鯖江市)を訪ねると、イベントを次のステージに進めるべきだと提案された。豊かな食の本質がより伝わるように、と。

 「そうとなったら、まずは朝倉膳から。あの質の高さは相当なものよ」。再スタートを切る場所はすぐに決まった。一乗谷朝倉氏遺跡がある福井市一乗地区だ。

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 「当たり前のようで当たり前じゃない。ここに住んでいるからこそ感じられる幸せがあるの」。地物の山ウドを天ぷらに揚げながら「一乗ふるさと料理クラブ」事務局を担当する吉田三恵さん(66)は、柔らかな笑みを浮かべた。クラブは郷土料理を受け継ごうと11年前に結成された。

 「機械を使おうかという意見が出たときもあったけど、やっぱり、すりこ木じゃないとね」。2日かけて水で戻した大豆を1時間かけてすりつぶす。伝承料理15品の朝倉膳が予約制なのは、愚直なまでに昔ながらの調理法を守っているから。大豆はいつしか生クリームのようになり、温かいみそ汁の上でふんわりと泡立つ。朝倉膳を代表する「呉汁」のシンプルなのに深い味わいは、手間暇を惜しまないクラブのベテラン主婦6人にしか出せない。

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 「これからビルをまちなかと地域をつなぐ場所にしたい」。企画班は当初から、フードキャラバンで掘り起こした地域の食や伝統工芸を中心市街地のまちづくりに結びつけたいと思い描いてきた。

 「フードキャラバンを単純に『これからビル』でやるのではなく、さらにブラッシュアップしましょう。うまくいけば、福井の人の誇りにつながるかもしれません」。「これからビル」1階の飲食店のアドバイザーを務める東京の小川智寛シェフ(坂井市出身)が、インターネットで配信しているキャラバン動画を見てメールをくれた。飲食店のメニューに反映させたり、マルシェイベントに発展させたりとアイデアは浮かぶが、確かにもう少し磨く必要がある。「一乗谷キャラバン」は13日。きっと新たな発見があるはずだ。=おわり=

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