広場「ガレリアポケット」(手前左)と「これからビル」(奥)。間の壁がなくなれば一体的に使えるが…=5月13日、福井市中央1丁目

福井市の許可が下りた。壁の撤去作業を開始=4日

ビル内部から見た開口部(左側)。その向こうにある広場の壁を取り除いて空間をつなげる=4日

 「まちのために空間を有効利用したいのは、民間も行政も同じはず」。「これからビル」事業計画で当初から視野に入れていたのが、ビルに隣接する福井市所有の広場「ガレリアポケット」との一体的な空間活用。飲食店が入るビル1階の広場側に開口部をつくって、オープンカフェやイベントに使わせてもらうことができれば、まちなかを楽しむ一つの仕掛けになる。だが、実現に向けては、乗り越えなければならないハードル、というか、文字通りの「壁」がそこに立ちはだかっていた。(細川善弘)

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 「広場を使う機会が増えるのは、まちにとってプラス。歓迎ですよ」。市の第三セクターまちづくり福井の幹部からは、後押しの言葉をもらった。ガレリアポケットは市が2003年度に整備した都市公園。あくまで公有地だが、まちづくり福井は、市から占用許可を受けることを検討中。そうなれば、飲食店が歩道にオープンカフェを開くように、まちづくり福井との連携で空間の利用は可能だ。

 「それって取り除く予定はないんですかね」。ネックになったのは広場を囲う壁。高さ約5メートル、幅約15メートル。南側の面がビルと広場を遮っている。市所有の壁だから、福井木守り舎(きまもりしゃ)の一存ではどうにもできない。ただ、市は本年度に計画する広場東側の歩行者専用通路の整備に合わせ、広場自体の再整備も検討している。撤去の可能性はある、はず。

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 「ただ通路を造るだけでなく、周りの建物が使いやすい空間にしないと意義は少ないと思っている。だが、壁撤去のための市の予算を確保するのは現状では難しい」。市としても壁撤去は検討事項になっていた。撤去のメリットは共通認識を持てた。でも、すんなりとは話が進まない。やっぱり最後は相いれないのか…。敷地を仕切るその壁が、民間と行政の隔たりを象徴しているようにも感じてきた。

 「市に許可を求めて木守り舎が壁を撤去する、という形には持っていけるかもしれない」。関係部署とのやりとりを重ねると、計画の話し合いに以前参加してくれた市担当職員の“助け舟”で、光が見えてきた。5月中旬、壁撤去を提案する市長宛ての文書を作成し、すぐさま担当課に提出。待ちに待った許可の通知が26日に下りた。

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 「市の姿勢も、民間を後押しする方向に、だんだん変わってきていると思うわ」。木守り舎の一人がつぶやいた。ビルの開口部は許可を前提に工事を終えている。壁の撤去費は木守り舎の予算から捻出し、工事は4日に着手した。ボルトで枠に固定されたセメント板を、1枚ずつ取り外していく段取り。ダンス練習用に設置された壁の鏡の行方が気がかりだったが、手前の1枚は残せることに。夜間などに集うダンサーたちの活動の場も、これで何とか失われずにすむだろう。

 「民間投資を生かして公共空間の価値を高めることになり、官民が協働するまちづくりの好例になると考えます」。市への提案書にはこう書いた。数日中に壁がなくなり、飲食フロアと広場の空間がつながる。次はいよいよ仕掛けを形にしていく番だ。

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