休日のガレリア元町商店街。「住めるまち」にふさわしい飲食店とは=5月30日、福井市中央1丁目

カフェレストラン「sumu」店内のイメージ(未完図)。天井が高く開放感のある空間に

ジャーサラダ、エッグベネディクトに、カフェ丼。「sumu」のメニュー案資料

 「福井の豊かな食文化に光を当てて、地元を誇れるきっかけをつくりたい」。福井新聞まちづくり企画班は、飲食店づくりを通したまちづくりに挑もうと昨年春に始動した。民間出資の会社「福井木守り舎(きまもりしゃ)」に参画。事業の第1弾となる「ふくいこれからビルディング」の“顔”は、1階に直営で開業する飲食店だ。企画班の思いが一つの形となる。ただ、単に店をつくることが、まちづくりにはならないし、地産地消を掲げるだけじゃ、人を引きつける特徴にはならない。まちへの思いから浮かんだコンセプトが糸口になった。(細川善弘)

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 「『住めるまち』にしていくのが、やっぱり究極の目標だと思うんだよね」。これからビルの飲食部門を担当する和食店経営の田邊豊取締役が、飲み会の雑談中にふと口にした。まちの魅力が高まれば、新しく住みたい人も現れる。住む人が集まれば、交流が生まれたり店が増えたりして、それがまた、まちの魅力になっていくはず。

 「何げない日常の風景にこそ価値がある」。今年2月、坂井市三国町の町家再生をテーマにした講演会。リノベーションの第一人者、建築家の馬場正尊さんは、それがまちの魅力だと語った。そこで思う。JR福井駅西口の商店街にある「日常の風景」って? 本来あるべき暮らしの温かみが感じられるような場が、もっと必要かもしれない。飲食店として、それを表現するならばどうなるか…。

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「まちのリビング」。田邊取締役のキーワードから、みんなでイメージを膨らませた。まちなかに「住む」ことをテーマにしたレストラン。駅西口一帯のエリアを一つの家とするならば、住む人たちは家族。家族が気軽にくつろぎ、交流できるキッチンスペースのような店にしよう。店名は、カフェリビング「sumu」(すむ)に決めた。

 「もう少し温かみのある雰囲気にできないかな」「照明を工夫すれば印象は随分変わるはず」。店舗の完成イメージ図を囲んでの会議は白熱した。設計は、ビル全体の事業計画にもアイデアをくれた福井市の建築士丸山晴之さん(43)。1階奥の一部天井は取り除き、広場側の壁に開口部もつくって開放的な空間に。交流を生むダイニングテーブル、仲間でゆったり過ごせるソファ席も必要だ。

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 「単純に最大公約数のニーズに合わせるだけじゃダメ。福井にないものをつくるところに価値がある」。飲食部門のスーパーバイザーには、坂井市出身で東京・麻布十番のフランス料理店オーナーシェフ小川智寛さん(42)を迎えた。田邊取締役と小中の同級生だった縁で、協力してもらうことに。国内外のレストランのコンサル事業でも実績がある。3月の顔合わせ会議での指摘は、ずしっときた。

 「目指すべきは『カジュアルでありながら高品質』」。小川さん指導の下でメニュー作りは大詰め。密封ガラス瓶に野菜やドレッシングを積み重ねるジャーサラダ、ニューヨークで大人気のエッグベネディクト、コシヒカリのカフェ丼…。「福井にないもの」を意識し、そこに県産食材を生かす。新たな“福井オリジナル”を楽しんでもらえるように。

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