下見で初めて入ったビル内。活用方法の想像を膨らませた=2014年9月4日、福井市中央1丁目のガレリア元町商店街

改修前のビルでキックオフイベント。福井県産食材の軽食を交えて和やかに=4月5日

改修着工。あっという間の解体でコンクリート外壁があらわに=5月16日

 「『福井なんてどうせつまらない』とか、感じていませんか? でも、そんな福井を変えていきたいって、僕らは思うんです」―。これは、まちづくり会社「福井木守(きまも)り舎(しゃ)」が開設するホームページ(HP)の一節。福井市のガレリア元町商店街の空きビルを再生する「ふくいこれからビルディング」は、7月上旬のオープンが決まった。新しい交流と創造の拠点が目指すものとは。福井新聞まちづくり企画班がなぜ木守り舎に加わり、この事業に至ったのか。「File.1」では、HP掲載用の原稿案をつづりながら、自分たちの思いをたどった。

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 「暮らしたいまちを自分たちでつくる」。福井木守り舎の理念を端的に表すと、こんなフレーズになる。企画班としても当初から掲げてきたメッセージだ。福井駅前五商店街連合活性化協議会の加藤幹夫会長ら有志と、そんな思いを重ね合わせ、昨秋に民間出資の会社を立ち上げた。

 「まちで何かを始めたい人、暮らしの場を求める人が、第一歩を踏み出しやすい環境をつくっていきたい。空き物件のオーナーと連携し、自分たちのできることから実践していきます」。リノベーションの手法に活路を見いだし、空き物件に新しい機能を持たせてエリアの価値向上につなげる。見込める収益に合わせて投資をなるべく抑えれば、身の丈に合った事業が成り立つ。最初の物件に、福井市の広場「ガレリアポケット」隣にある空きビルを選んだ。

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 「これからは人口が減っていく時代。遊んだり、働いたり、住んだりする場を集約させたエリアづくりが、福井全体が生き残るためにもきっと必要になっていきます」。商業や暮らしの場が郊外に移り、人通りが減った中心市街地。「これからビル」は、福井の中心と各地域をつなげる拠点を目指していく。

 「豊かな食、誇れる伝統産業…、そして、それを支える人たち。福井には、歴史に育まれた良さがたくさんある。そんな良さをもう一度、すくい上げて、とらえ直して、新しい商品、新しい産業、新しい価値をつくります」。1階は、福井の食材を使ったメニューを提供するカフェレストラン。3階は、異業種がアイデアや技術を共有してビジネスにつなげるコワーキングスペース。その連動で地域資源を生かす循環をつくりたい。

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 「人が交われば、そこに何かが生まれる。福井のモノを上手に生かし、新しい『福井オリジナル』を生みだそう。それを発信すれば、また新しい人、新しい感性が加わり、次のオリジナルが生まれていくはず」。独立を目指す若い起業家、6次産業化に取り組む農業の担い手、U・Iターン者…。訪れてくれる人たちと一緒に、ビルに新しい命を吹き込んでいきたい。

 「これからの福井、きっと面白くなります」。ホームページの原稿案は、願いを込めてこう結んだ。ビルはこの春から賃借し、業者による改修工事が5月中旬にスタート。青紫色だった壁板も、ピンクの試着室も既に撤去。以前のギャル風ファッション店の面影は消え、コンクリートの外壁が現れた。期待と不安を抱えながら、空間は着々と生まれ変わろうとしている。

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