77歳の夫は1〜3月の寒い時季にひどい寝汗をかき、下着はもちろんパジャマまでしっとりとぬれます。ほぼ毎日です。羽根布団に電気毛布を使っていますが、温度設定を下げても寝汗をかき、スイッチを切ると「寒い」と言って起きることがあります。夫は約20年前にがんで胃を全摘出しています。体力はありませんが、身の回りのことは自分でできます。どこか悪いところがあるのでしょうか。(大野市、女性)

【お答えします】夏井耕之・福井赤十字病院内科部長

■後天性多汗症の可能性

 発汗が多いことは、一般に「多汗症」といいます。大きく分けて、体全体の発汗(全身性)と、体の一部(局所性)の二つがあり、全身性には遺伝性(原発性)と二次性(後天性)のものがあります。遺伝性のものは多くは思春期の頃に発症するので、相談の内容からは全身性、二次性の多汗症と考えます。

 汗は体温を調節する機構の一つで、自律神経でコントロールされます。脳の体温調節中枢に設定された温度(多くの人で36・5度前後)よりも体温が上昇してくるような環境では全身発汗が起こり、身体から気化熱を奪うことで体温を下げようとします。

 従って多汗症の原因としては、その調節機構の異常をきたす疾患(甲状腺や下垂体の疾患)、低血糖(糖尿病治療や胃切除後)、自律神経を巻き込むような腫瘍、重度の感染症、心内膜炎などのほかに、自律神経の病気(自律神経失調症)や調節センターである脳そのものの病気、肝臓や腎臓といった重要臓器の疾患など、可能性はさまざま考えられます。

■睡眠時の環境整えて

 ただし、相談が冬季ということを考えれば、やはり「環境が暑すぎる」可能性もあるでしょう。もともと人体には睡眠中にそれほど暑くなくても発汗して、体温をやや低めにして安眠するという機能があります。さらに、自覚的には「暑い」と感じていなくても、神経系のほうが体温上昇傾向を感知すれば発汗は増えるでしょう。

 電気毛布の温度設定が低くても、入浴直後で体がほてっているとか、就寝前に熱い飲み物を飲んだとか、暖房の温度設定が高めで暑すぎることなどはあり得ますし、羽毛ふとんなどでは熱がこもりやすい(うつ熱)ということもあるでしょう。

 このような環境の問題に加え、先に説明した何らかの疾患の合併ということもあり得ます。特に胃切除後の方は、食後何時間かたってから低血糖が起こることもあります。だんだんとひどくなる、環境を整えてもやはり起こる、冬でなくても起こる―というときには受診をお勧めいたします。


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