北九州市でのリノベーションスクールで対象物件を現地調査する受講者。同様のスクールが6月に福井市で開かれる=2月12日

 空き物件の活用を通じた中心市街地再生の機運を高めるため、福井市の第三セクターまちづくり福井などが目指していた「リノベーションスクール」の同市での開催が正式に決まった。日程は6月19~21日の3日間。専門家の指導の下、JR福井駅周辺にある2軒の空き物件を対象に、エリアの価値向上を目指した事業計画を受講者が練り上げる。計画は実践を目指すのが前提となるため、まちへのインパクトは大きそうだ。

 北陸3県で初の開催。当初想定の7月から前倒しとなった。

 「リノベーションスクール@福井」と銘打ち、主催するまちづくり福井が23日、開催要項を発表した。福井市と福井駅前五商店街連合活性化協議会などが共催する。まちづくりに関心がある若者らを対象に、受講者の募集を始めた。県内外から16人程度を受け付け、二つのグループに分かれて計画づくりに挑んでもらう。

 リノベーションは一般的に、建物の機能や用途を見直し、改修などで性能を高めることを指す。地域の課題解決に結び付く使い方を考え、事業として継続させることで、民間主導のまちづくりにつなげることができる。

 全体の監修役「スクールマスター」は、北九州市のリノベーションまちづくりをリードする北九州家守(やもり)舎代表取締役の嶋田洋平氏が務める。事業計画を指導する「ユニットマスター」は、ともにリノベーション界の先駆けとして活躍する建築家の大島芳彦氏と馬場正尊(まさたか)氏。

 受講者は物件や周辺エリアの特徴を調査し、活用のアイデアを交わす。必要な視点やノウハウを学ぶ講義を経ながら、事業収支を含む計画を3日間でまとめる。最終日に物件オーナーにプレゼンテーションし、事業化が判断される。

 スクール発祥の地の北九州市では2011年から年2回開催。13件が事業化され、300人超の雇用が生まれた。和歌山市や鳥取市、山形市でも開かれており、本年度は15都市が予定している。

 申し込みはホームページ(http://renovation-fukui.tumblr.com/)で、5月17日まで受け付ける。受講料は2万円(教材費込み)。問い合わせはまちづくり福井=電話0776(30)0330。

 ■豊かな暮らしへ行動起こそう

 リノベーションスクールの現場を初めて見たのは、昨年6月の静岡県熱海市での取材だった。新しいプロジェクトがその場で芽生え、まちが変わろうとする瞬間に立ち会えた気がして、やたらと心が高ぶった。同時に、福井でもこれだけの熱気が生まれれば、との想像もよぎった。

 この取材は、福井新聞まちづくり企画班がリノベーションの手法に活路を見いだすきっかけになり、民間まちづくり会社「福井木守(きまも)り舎(しゃ)」への参画にもつながった。あれから1年。地元関係者の熱意が実り、スクールの福井開催が実現した。

 スクールと言っても、単なる学びの場ではない。実在の建物や土地で事業を組み立てるから、そのまま、まちづくりの実践の場となる。福井市中心市街地の転換点となるプロジェクトが生まれるかもしれない。

 ただ、スクールを「誘致する」といった他力本願のような感覚は持たないようにしたい。開催さえすれば、結果が付いてくるわけではないからだ。「自らの力でまちづくりを進めている人が、手助けをもらう場にすぎない」。本県ゆかりの建築関係者はこう戒める。

 まちづくりに“万能薬”や“魔法の杖(つえ)”はない。その地域の現実ととことん向き合い、思考と実践を地道に積み重ねていった結果でしか、まちは変わっていかないのだと思う。肝心なのは、住民の真剣さと行動なのだろう。

 受講者に求められるのは、建築などの技能はきっと二の次。将来まで豊かに暮らせる地域づくりを本気で思い描くことだ。今回のスクールが、まちのプレーヤーが生まれるきっかけになってほしい。(細川善弘)

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