リノベーションスクールで受講者と物件活用のアイデアを出し合う荒谷さん(手前左)=2月13日、北九州市小倉北区

 まちの空き店舗や空きビルを民間主導でリノベーション(新たな用途を前提にした建物改修)するまちづくりで注目を集める北九州市。実際の物件を使って2月に開かれた「リノベーションスクール」に、福井市の第三セクターまちづくり福井の荒谷定生さんと前田浩貴さん、同市職員の山崎清一郎さんが参戦した。同市のガレリア元町商店街にある空きビルを再生する計画を一緒に考えてきた仲間だ。

 3泊4日のスクールには、全国から100人以上が集まった。10程度のグループに割り振られ、それぞれ事業案を練り、最終日に物件オーナーの前で発表。共感を得られれば、事業化につながる“リアル感”が最大の特徴だ。北九州市での過去7回のスクールでは13件の事業が実現し、300人超の雇用が生まれた。スクールは、まちの“成長エンジン”になっている。

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 荒谷さんのグループが挑んだ案件は、市中心部の商店街にある築50年以上の3階建てビル。1フロアはわずか4坪。「美容系ショップならいけるかも」「居酒屋には狭すぎる…」と浮かんでは消える再生プランに対し、アドバイザーの専門家は「なぜ、この場所でやる必要があるのか」と何度も詰め寄った。

 荒谷さんらは周辺の調査で商店街の通りを芝生の公園にする計画があり、隣のビルにクラフト作家が集まる商業ゾーンがあると気付いた。そこから生まれたアイデアは、子育てママを対象にした「中古ベビーカーをデコレーションして販売する専門店」。商店街にある子育て支援施設のスタッフから「デコベビーカーは増えつつある」と潜在的ニーズも聞き出していた。

 初期投資を500万円とし3年あまりで回収する収支計画を立てた。実際の出資者まで見つけた。プレゼンを聞いた女性オーナーの目は輝いていた。

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 荒谷さんは「福井のまちなかで眠っている物件でも“物語”が生みだせるはず」と興奮気味。一方、前田さんたちは、お年寄りが暮らす築56年の木造集合住宅と周辺店舗や駐車場を一体的にとらえ、新たな交流を生む空間を提案した。「生まれ変わった建物がエリアにどういう価値をもたらすのかを徹底的に考えた」

 スクールは今夏、福井市でも開かれる。全国から集まる熱量がまちにどんな変化を起こすのか。楽しみな半面、自分たちのまちづくりに対する本気度も問われるようで身が引き締まる。(高島健)

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