糖尿病を患っていると、認知症になりやすいと聞いたことがあるのですが、関連性はあるのでしょうか。また、もし糖尿病の人が認知症になったら、どのような問題が起こりますか。その場合、何に気を付ければいいのですか。(福井市、50代男性)

 【お答えします】中野葉子・福井県立すこやかシルバー病院医長

 ■報告はあるが推測の段階

 糖尿病の方が認知症になりやすいかどうかについては、正確にはまだわかっていません。認知症の原因としては、アルツハイマー病と血管性認知症が大半を占めます。糖尿病が血管性認知症を引き起こしやすいことは従来よく知られていました。

 さらに、日本、アメリカ、オランダなどさまざまな地域における住民調査の結果、糖尿病のある人は糖尿病のない人に比べると約2倍アルツハイマー病にかかりやすいという報告が、1995年から2005年までの間で次々と出されました。

 糖尿病になるとインスリン抵抗性が弱まるため、アルツハイマー病の原因物質であるベータアミロイドタンパクが脳にたまりやすくなることが原因ではないかとされています。ただし現時点では、推測の段階で、詳細は今後の研究結果を待つ必要があります。

 ■糖尿病悪化には注意必要

 糖尿病の人が認知症を発症した場合は、糖尿病が悪化しやすくなるため注意が必要です。

 糖尿病の治療は、適切な食事、運動、薬の内服などをいかに継続できるかが鍵になります。ところが認知症が始まってくると、物忘れと段取りの悪さがいつの間にか出てきます。

 その結果、薬を飲んだかどうかがあいまいになり、内服が不正確になることがあります。また、段取りが悪くなったせいでこれまではできていた料理や運動がおっくうになることもあります。これらはどちらも糖尿病を悪化させる原因となります。

 そのような場合、適切な診断を受け、苦手な部分を理解しつつ補ってもらえる介護者の助けを借りることによって、糖尿病の悪化を防ぐことができます。

 私たちの病院でも、持病の糖尿病が悪化したことがきっかけで認知症に気付いて受診する方が何人もいます。高齢の糖尿病患者の場合は、糖尿病が悪化の原因の一つとして、認知症がある可能性も考えておく必要があります。

 もし、残っている薬の数が合わない、物忘れが増えたなど、認知症を疑わせる症状に心当たりがあれば、糖尿病外来だけではなく、物忘れ外来も早めに受診いただくことをお勧めします。

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