福井市のガレリア元町商店街にある空きビルを再生する「これからビル」(仮称)のイメージ図

 「これからビル」(仮称)の1階飲食店をだれが担うのか。根本的な問題だけに、決めるのに時間がかかっていた。「きょうはもう結論を出さんとあかん」。2月19日の福井木守り舎(きまもりしゃ)の会議で、加藤幹夫社長が切り出した。

 福井市のガレリア元町商店街にある4階建て空きビルの活用。ビル全体のコンセプトを共有できる飲食事業者を見つけ、テナントに迎える―というのが福井新聞まちづくり企画班の当初のスタンスだった。

 事業者には心当たりがあった。3階のシェアオフィス(共同事務所)と飲食店を連動させた商品開発の構想をその事業者に伝えると、「新しい福井ブランドを発信したいと思っていた。ぜひ一緒に考えたい」と返ってきた。最高のパートナーだと感じていた。

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 木守り舎内で異論が出た。「テナントが不振の場合、撤退の心配もあるのでは」。福井市内で和食店を経営する田邊豊取締役は、木守り舎による直営店を提案した。企画班は、意欲あるテナントに店舗回しを任せれば、木守り舎はビル全体や広場での企画に注力できるとも主張したが、最終的には加藤社長のトップ判断で直営に決まった。

 大きな理由は開店時期。心当たりの事業者は有力だったけれど、準備に秋まで必要という。だが、建物オーナーとの間で4月からの賃貸が決まり、そこから家賃の負担が生じていく。木守り舎はスタートを切ったばかりで、「(事業を)間を置かずに少しでも早く具体化したい」(加藤社長)こともあった。

 事業収支の面でも、1階の収入はテナントの場合、賃料のみ。直営なら全収益が入る。試算では、投資回収にかかる期間はテナントだと約5年、直営が成功したら約3年。回収が早ければその分、早く次の事業に再投資できる。

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 事業の枠組みは決まった。福井の食と伝統工芸に光を当てようと、まちづくり企画班が活動を始めて1年余り。多くの人と連携し協力をいただき、継続的な事業の拠点をつくれる環境にたどり着いた。

 開業目標は今夏ごろ。具体化に向けては、さまざまな人に楽しんで関わってもらうプロセスが大切になる。福井の「これから」をつくる―。共感の輪を広げながら、次のステージへと進もう。(細川善弘)=第8章おわり=

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