元CALMビルの内部。2階からは1階やガレリア元町商店街の通りが見下ろせる。この面白い空間を生かしたい=2014年9月、福井市中央1丁目

雑然とした1階フロア。ギャル風ファッションを取り扱っていた当時の店の雰囲気が残る

 そのビルの扉を開けると、人の往来から何年も切り離されていた屋内の空気が、ふわっと動いた。

 まだ蒸し暑い昨年9月のことだ。まちづくり会社「福井木守(きまも)り舎(しゃ)」の設立準備をする傍ら、福井市中央1丁目にあるガレリア元町商店街の空きビルに、一同で初めて足を踏み入れた。

 ビル1、2階にあった「CALM(カーム)」は、10~20代のギャル風ファッションを扱う店だったらしい。壁は鮮やかな青紫色で、階段には派手なヒョウ柄が施されている。「面白い物件。なんかワクワクするね」。4階建て延べ約300平方メートルのビルは、こうして木守り舎が手がける初仕事の最有力物件になった。

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 福井の食と伝統工芸の魅力をまちづくりにつなげる―。企画班の計画を実現するためにも、1階は地産地消を売りにした飲食店に。元は服飾店だが、1階奧には台所があり厨房(ちゅうぼう)は何とか造れそうだ。

 3階は間仕切りも何もないコンクリートむき出しの空間。倉庫だったという。メンバーから早速、「シェアオフィス」にするアイデアが出た。まちなかに関心があるデザイナーやカメラマンらの共同事務所に、というわけだ。彼らが1階の飲食店に刺激をもたらし、その“化学反応”から思いがけない新商品やサービスが生まれるかもしれない。

 ロフト風の2階は、広さ8坪ほど。壁を破れば、もう少し広くなりそうだ。ここを貸しスペースにすればいい。

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 「だめだ。2階の奧は使えない」

 1月下旬の会議。構造上の理由で2階は結局、これ以上広げられないことが分かり、一同は落胆した。

 リノベーション(新たな用途を前提にした建物改修)に投じた資金を数年で回収するためには、達成しなければならない収益ラインがある。広さが十分でないと、収入を得るための選択肢が限られるのだ。「ビル全体でみた2階の有効な使い方をもう一度、考えてみよう」

 まちなかに「新しい風」を吹かせるには、課題を一つ一つクリアしていくしかない。(高島健)

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