美容関連のブースが並んでにぎわった「美フェス」。まちのテーマを独自に設けようという試みだ=11月2日、福井市中央1丁目のサンロード北の庄商店街

 11月2日、福井市のサンロード北の庄商店街がいつもとは違うまちに見えた。ネイルやエステ、マッサージなど約50の特設店が歩行者天国に並び、通りは20~30代の女性たちでにぎわった。

 イベントは「美フェス」。美容にまつわる出店者を、商店街に点在する空き店舗に集める「美のまちプロジェクト」のプレ企画だ。

 感度の高い女性たちが、お目当てのブランドや食、サービスを求めて金沢や京都まで足を運ぶ時代。それでも魅力さえ感じれば、福井の商店街にもちゃんと目を向けてくれる。

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 プロジェクトは、戦国一の美女とうたわれた北の庄ゆかりの「お市の方」にちなんでいる。これまでずっと模索されてきたエリアのコンセプトを、上手にこじつけて独自に定めてしまおうという試み。来年3月に20店舗以上を同時オープンさせるのが目標で、まちへのインパクトは大きそうだ。

 美容関連の個人経営者は、マンションの一室に店を構えているケースが多い。「美」という統一テーマを掲げることで、顧客の獲得を見込めるエリアをつくり、働く場をまちに移し替えてもらう。これも、「まちにいない人の居場所をつくる」取り組みの一つといえる。

 仕掛け人は、まちなかで若者向けの大規模イベントを企画してきた自動車運転代行業の竹本祐司さん(31)=福井市。まちづくり企画班が運営スタッフとして参加した5月の「超フェス」以来、「『美』と『食』が絡んで何かできないですかね」と、連携を投げ掛けてくれていた。

 「活性化に取り組む団体はあっても足並みがばらばらだから、中途半端。まちに一つのテーマを与えてしまえば、地元の人も外部の人も、一致団結できると思うんですよね」。竹本さんが熱く語るように、各団体同士の連携もエリアづくりの鍵になるだろう。

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 食の拠点づくりのコンセプトを、もし「美のまち」と合わせるとすれば、若い女性がターゲットということになる。まちづくり会社「福井木守(きまも)り舎(しゃ)」の打ち合わせで提案してみると、「今の普段のエキマエで若い女性を中心にして商売になりますかね」とやんわり否定された。ビジネスとしては、手堅い客を狙うべきとの考えだ。

 でも、そこばかりにとらわれていいのか。今のまちなかの客層を前提にしているようでは、少ないパイの奪い合いになるだけ。女性客に絞るかどうかは別にしても、少しでも新しい風を呼び込むように考えないと。これは単なる店づくりじゃなく、まちづくりの事業なんだから。

 メンバーとこんなやりとりを重ねるうち、目指したい事業の形が見えてきた。(細川善弘、高島健)

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