「目の前で作品を仕上げて手渡しをしたかった」。空きフロアの改修で女性作家たちが求めていた居場所ができた=11月5日、北九州市小倉北区の中屋ビル2階「ポポラート三番街」

 福井駅前電車通り=上質感のあるライフスタイルを発信する通り

 北の庄通り=「自分だけ」のお気に入りの店が見つかる通り

 福井駅前南通り=観光客・地元客が市場感覚で利用する通り

 福井市の福井駅前商店街振興組合は2004年、こんなコンセプトを定めた。ショッピングセンター(SC)のように計画的に、集客力のある店を誘致する「テナントリーシング」。当時としては全国でも珍しい挑戦だったという。

 だが、効果は表れなかった。同組合理事長の加藤幹夫・福井木守(きまも)り舎(しゃ)社長は「SCと違って、商店街ではテナントを強制的に入退居させられない。地権者の意識や経済状況もばらばらで、まとまらなかった」と振り返る。

 実情に合っていなければ、地元がつくったエリア像でさえも、絵にかいた餅になってしまう。

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 商店街が集まる福井市中央1丁目は「商業エリア」の印象が強い。市の中心市街地活性化基本計画も、県と市が定めた県都デザイン戦略も、そう位置付けている。

 ただ、第三セクターまちづくり福井が行った昨年の市民アンケートでは、「魅力的な店舗が多い」との回答はわずか5・5%。統計がないのではっきりしないが、年間販売額も落ち込みが続いているとされる。

 不振は、昼間人口の減少も一因だろう。過去20年で中央1丁目の事業所数は約300軒、従業者数は約2千人減った。

 「働いたり住んだりする人が増えれば、商業も自然と伸びてくるはず」と加藤社長。旧来の印象にとらわれていてはいけない。商業以外の多様な都市機能にも目を向ける必要がある。同感だ。

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 「商業地として魅力がなくなった場所を、商業で再生させようとするから失敗する。まずは働く人を増やすべきだ」(北九州家守舎(やもりしゃ)の嶋田洋平代表取締役)。北九州市の小倉家守構想が目指したのは、ものづくりやデザインなど「都市型産業」の集積だ。

 「お客さんの目の前で作品を仕上げて、手渡しできる場が欲しかったんです」。リノベーション(新たな用途を前提にした建物改修)で再生された同市小倉北区の中屋ビル。アトリエ兼ショップが集まる2階フロアに入居した女性(27)は、大好きな雑貨作りをそこで楽しんでいた。

 女性は以前、病院事務の仕事をする傍ら、趣味の雑貨を自宅で手作りし、知り合いのカフェで委託販売していた。3畳ほどずつの広さにブース分けされたフロアは、同様に創作の場を求めていた作家約20組で埋まっている。

 まちにいない人の居場所をつくる。小倉家守構想の先進性は「いない人」をちゃんと見すえていた点にあるのだろう。(細川善弘)

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