「レストラン、順調ですか?」と尋ねられたのは、所用で神戸新聞社へ出向いたときのことだ。名刺を交換しながら先方は、あいさつ代わりにわれわれの連載を話題にした。福井新聞のホームページで読んでくれているのだという。

 先月下旬の日本新聞協会報では「まちづくり会社を設立 第1弾は『食』の常設店」との見出しで紹介された。

 今月上旬、ジャーナリズムを研究している早稲田大大学院の男子学生がはるばる、企画班を訪ねてきた。記者が直接まちづくりに携わりながら記事にしていく「当事者報道」に興味を引かれたという。

 外から見れば珍しい試みなのだろう。けれど、われわれには奇をてらったつもりは全くない。

 男子学生に応対した細川記者によると、彼は「紙面を読んでいて、人がつながっていくのが見える。これだけのつながりをつくっていけるのは、新聞の力じゃないとできませんよ」と話したそうだ。ありがたい評価だが、では「人のつながりをつくる」ことが今、どうして必要なのか。

 日本は長く停滞している。放置すれば少子化と超高齢化が同時に進み、人口減少が加速する。その「課題先進国」にとって、手本はどこにもない。そんな時代に、地方の、なかでも小県の福井は、国が進路を決めてくれるのを待っていて無事に済むはずもない。

 だから「人のつながり」が大事なのだと思う。人がつながるとは、産官学民を問わず、あらゆる知恵と資産と行動力を集めること。われわれ記者だって、いや地域と運命を共にする本紙の記者だからこそ、まちづくりに関わらなければいけない。

 というような思いなのだが、あまりに大上段なので「気負いすぎか」と顔が赤くなる。(山口剛)

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