「正直に謝ろう」。山口デスクがつぶやいた。

 重い足取りで向かった先は、福井市の福井駅前電車通りにある農家レストラン「菜郷(さいごう)」。まちづくり企画班による期間限定レストランの営業場所として、店主の梅田恵一さん(42)=勝山市=が店舗の間借りを快諾してくれていた。だが、リノベーション(新たな用途を前提にした建物改修)の考え方を取り入れ、空き店舗を活用して常設店をつくる方向へとプロジェクトを軌道修正。自らの申し出を取り下げるのだから、どんなに責められても仕方がない。

 実は、紆余(うよ)曲折がありまして―。カウンター越しに梅田さんと向き合い、事情を説明して頭を下げた。すると、梅田さんの第一声は「うん、よかったじゃない、方向性が見えてきて。この前、駅前を下向いて歩いているのが見えたから、心配やったんや」。これまでいろんな人からさまざまな場面で助けていただいたが、今回も“恩人”の懐の深さに救われた。

 梅田さんからは以前にも、こんな言葉をもらった。「飲食店の経営は、ただでさえ難しい。僕はお客さんが喜ぶのを見たくてやってるだけやけど、細川さんは記者なんやから。無理なことは無理って会社に言った方がいいよ」。ありがたいお気遣い。ただ、企画班は会社の指示で動いているだけじゃないんです。自ら活動することで、自分たちのまちが少しでも盛り上がっていくのを見たくてやっているんですよね。

 企画班が壁にぶつかりながらも活動してこられたのは、元をたどれば梅田さんのおかげ。“舞台”を借りられなければ、レストランづくりを検討することさえできなかった。これからは、空き店舗の解消というまちの課題に向き合い、継続的な活性化のきっかけづくりを目指す。梅田さんの厚意に応えるためにも、前進あるのみ。(細川善弘)

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