空き店舗が目立つエリア。オーナーから事情を聴くと素朴な疑問が続々=福井市中央1丁目

 「リノベーション」(新たな用途を前提にした建物改修)は空き店舗に新たな価値を生む。そこに新事業が立ち上がり、まちに人を呼び込む。連鎖的にリノベーションが広まっていけば、まちを元気にできる。その先駆けになりたいと、企画班は常設の店づくりへ、かじを切った。

 どうしても必要なのが、空き店舗オーナーの積極的な協力だ。まちづくりに関心があり、投資意欲もある。そんな人を探し出せればいいが、まちの現状は思った以上にお寒い。

 福井市中央1丁目の新栄商店街は、駅前電車通りを南に一筋入った区画。小さな建物が密集し、歩けば横町の風情を楽しめる。とはいえ、大半の建物が築50年以上。手入れもされずに雨漏りがして、入居者が契約を取りやめた例もある。周辺の商店街より家賃相場は安い。なのに、空き店舗率は格段に高い。

 こんな状態になるまで、オーナーはなぜほうっておいたのか。上手に改修してテナントを呼び込めば、家賃も入るし、まちのためにもなるのに。ひょっとして“うまい話”が転がり込んでくるのを待ってる? そう勘ぐりたくもなる。

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 まちなかに土地や建物を持っていれば、それだけで固定資産税とか、結構な経費がかかるはず。収入を生まない遊休資産にしておいて、大丈夫なんですか。

 商店街に空き店舗を持つ70代男性を訪ねると、苦笑交じりに答えた。「そりゃ苦しい人も中にはいるけど、大半の地権者は昭和40年代までの商売でもうけた蓄えが、しっかりあるわね」

 蓄えが、しっかり? それなら改修すればいいのに。活用して家賃収入を生んだ方が、結果的に得なのでは。すると今度は力ない答えが返ってきた。

 「改修したところでテナントが入るかどうか分からんやろ。家賃の相場が下がって、採算の見通しが立たんところまで来ているからね…」

 男性は父親の代から、周辺の商店街を含む4カ所に計約100坪の土地と4軒の建物を持つ。うち2軒が空き店舗だ。隣り合う複数の地権者と連携した共同建て替えを希望しているが「昔と違って地元間の協調性もなくなった」と、展望を見いだせないでいる。

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 建物は私有物だ。まして、それでお金をもうけている以上、改修に付きもののリスクはオーナーが負わねばならない。当然の論理だが、オーナーにすれば無謀な投資を避けるのが正しい選択。どちらも正論。そのはざまで、まちに空き店舗が増えていく。

 リノベーションの場合、事前に入居者を決め家賃収入のめどを立てるから、オーナーは回収できる範囲で投資すればいい。男性に提案すると「手っ取り早く物件を活用するには、いい考えかもね」。うーん、「かもね」かぁ。(細川善弘)

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