「ジビエで客が来るんやろか…」

 7月、福井県若狭町で「ふくいフードキャラバン」を開いた際、メニューにどうしてもジビエ(野生鳥獣肉)を加えたかった。同町にジビエ工房があるからだ。でも、大きな葛藤があった。

 飲食店関係者いわく「ジビエがおいしいのは冬でしょ。なんで夏にわざわざ?」「調理が手間。臭い。値段も高い」「正直おいしくない。まだカレーならいけるけど」…。絵にかいたような不評の嵐。農作物に多大な被害を与える獣たちは、どこまでいっても厄介者なの?

 そんな折、「若狭からブームをつくっていけばいい」と洋食店オーナーが協力してくれた。そして今月14日、第4弾フードキャラバンと位置づけた福井県大野市和泉地区でのジビエ消費拡大イベント。サラダ、春巻き、ハンバーグと、参加チームは発想豊かにジビエの調理に挑んだ。

 審査員を務めた福井市の飲食店「カシーナ」総料理長のシルバーノ・マスッティさんは、ブルーベリーソースあえを披露。お手本を示してくれた。それはシカ肉の臭みを「消す」のではなく、ソースと調和させて「生かす」料理。なるほど。

 シルバーノさんによれば、福井の食材とジビエ料理はすごく相性がいい。「それだけに、行政が消費を促している割にはジビエが家庭に流通する仕組みのないのが残念」。その指摘も、うなずける。

 スーパーへ行けば簡単に手に入るというのではない以上、福井県内のジビエ普及は当面、飲食店に頼るほかはない。その当事者の経営者たちは今のところ「よほど大きなブームが全国的に起こればマイナスイメージもなくなり、消費も進むだろうけど」と及び腰。いやいや、そうじゃなくて、その大きなブームを福井からつくっていけませんかと。実際、可能性を感じたんですが。(土生仁巳)

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