三方湖の川エビ漁。福井県若狭町には「湖の幸」があり、フードキャラバンで生かせそう=18日、同町鳥浜

 霜降り肉のような紅白のまだら模様。野菜なのにステーキのようだ。「世界に一つだけのカブラ」との説明も、うなずける。

 4月下旬、敦賀市の「杉箸(すぎはし)アカカンバ」の生産組合代表、山口一夫さん(66)から見せられたアカカンバのチラシに引き込まれた。見せ方次第で輝く素材が、ここにある。まちづくり企画班による期間限定レストランの食材探しは、幸先よく進んだかに思えた。

 相談に行った県職員の言葉に、はっとした。「伝統野菜って安定した収量確保が難しいよ。担い手も少ないし」

 杉箸集落の5軒8人で守ってきた杉箸アカカンバ。山口さんは「交雑しやすく、同じ土壌でないと品質が保てない。ほかの地域ではなかなか栽培できない」と打ち明けた。そんな中で畑を30アールに広げた苦労がにじむ。

 食材の発信も、一歩間違えると地域の負担になりかねない。

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 食材探しのさなか、フードキャラバンを立ち上げると高島記者から聞いた。それなら嶺南でもやりたい。7月20日には舞鶴若狭自動車道が全線開通する。この時期に開けたら、地域の盛り上げを担えそう。

 ただ、真夏にいい食材があるのか。若狭町の山内かぶら、敦賀市の古田苅(こたかり)かぶらを含め「カブラ食べ比べキャラバン」をひそかに思い描いていたが、7月だと、まだ種まきもしてない…。

 美方高の梅体験学習でお世話になった若狭町産業課の三宅里美さん(54)に相談してみた。何かヒントを得られればと思いつつ。

 何と“逆提案”を受けた。「フードキャラバン、うちの町でやりませんか。若狭には『湖の幸』がありますよ」

 そうか、三方五湖だ。今の季節なら川エビやウナギが捕れる。「新鮮な川エビは塩ゆで。甘辛煮、ミンチボールもいい」と、鳥浜漁業協同組合代表理事組合長の増井増一さん(66)も言ってたっけ。

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 福井市越廼地区、鯖江市河和田地区でのフードキャラバンを仕切った高島記者は、地元の人たちといい関係を築き、成功させた。

 地域の担い手にはこだわりもあるだろう。同じことができるか、少なからず重圧になっている。

 それにしても、嶺南の素材は魅力的。地元の皆さんと納得いくまで話をし、一緒に汗をかいて作り上げていこう。苦しみの先に喜びがあると信じて。(土生仁巳)=第3章おわり

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