5月17日午前4時、福井市越廼地区の茱崎(ぐみざき)漁港はまだ肌寒い。岸壁で震えていると、イカ釣り漁船が帰ってきた。新鮮なスルメイカの表面はつるつる、ぴかぴか。ほどなく定置網船も帰港。跳ね回るブリ、タイなどにカメラを向け、シャッターを切る。

 福井の食の魅力が詰まったレストラン計画を具体化していくにはまず、各地の現場を歩いてヒントを探さなきゃいけない。

 「あらー、高島さんやないの」

 越廼地区で上野志津子さん(76)が声を掛けてくれた。越廼初の女性漁師として36年間、日本海のイカを追い続けた人。引退直後の2008年に取材でお世話になった。こんな形での再会も、何かの縁。

 上野さんは今、越廼漁協の女性団体「ぬかちゃんグループ」で活躍中。地元の海の幸を広めようと加工品作りなどに取り組んでいる。はつらつとした表情は6年前と同じ。

 とれたてのイカを手際よく刺し身にしてもらう。

 「薬味は絶対に大根おろし。ワサビよりも甘く感じるでしょ」

 次々と飛び出すおいしい情報。一緒に取材した企画班仲間の福井テレビ・福田布貴子アナウンサーも目を丸くしていた。

 豊かな食材や地域ならではの食べ方は、県内でも知らない人は多いはずだ。それらを守り伝える人たち、育む風土は福井の宝。食に注目した私たちのまちづくりのアイデアはきっと間違ってない。

 企画班は今、レストラン計画に深みを持たせるため、ちょっとした食のイベントを地域の人たちと開こうと思っている。何げない食材のよさを見直し、人の輪が広がるきっかけになるような…。地域のまちづくりの一助になったら最高だ。

 詳しい内容は連載の第3章でお伝えする予定です。福田アナとの取材の成果は、26日夕の福井テレビ「スーパーニュース」のコーナー「刻(とき)の風」でご覧ください。(高島健)

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