クラウドファンディング「READYFOR?」のセミナー。参加者同士で夢を語り合った=2月18日、東京都文京区

 「『夢を追う男』の阿部雅龍(まさたつ)です」。2月、都内のビルの一室。クラウドファンディング「READYFOR?(レディフォー)」の成功例を学ぶセミナーに参加した。聞いたこともない肩書を堂々と名乗る31歳青年の講義に、思わず引き込まれてしまった。

 青年は「北極圏500キロを単独踏破したい」というプロジェクトで昨年、レディフォーに応募。けた違いのスケールだが、たった1カ月で破格の282万円を集めたというから、もっと驚いた。

 「『社会にとって良いことをするんだから、出資してくれるでしょ』という意識は、間違い。みんなが支援してくれたのは『プロジェクトを達成すると自分もうれしい』と思ってくれたから」。はっとさせられた。

 「福井のため」と声高にいくら叫んでも、相手の心が動かないと支援してもらえない。大切なのは一人一人に熱意を伝え、共感の輪を広げること。「資金集めの主役は支援者」。忘れないでいよう。

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 参加者も同じくらい熱かった。レディフォーで、新しい世界に飛び込もうという20~30代の男女9人。自己紹介の時間は、さながらプレゼン大会だった。

 「ユーラシア大陸を横断しながら古武道を教え、旅を本にまとめたい」(東京都の武道家男性)

 「起業家向けの託児機能付きコワーキングスペース(共有事務所)を開設したい」(埼玉県の居酒屋経営男性)

 こっちも、思いは負けてませんよ。記者がレストランを開いて、福井ならではの楽しみ方を提案したいんです―。

 居酒屋経営者が大きくうなずき、セミナー終了後に「せっかくだし、今からちょっと一杯いきませんか」と誘ってくれた。

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 参加者3人と近くの中華料理店へ。既存の融資を受けられなかった苦労話をすると「実績や前例が大事な世の中。これから挑戦しようという、僕らみたいな人間には冷たいですよね」。ビール片手に意気投合。

 すると、武道家と茶道講師の男性が盛り上がりだした。「一緒に世界を回ろうよ」「いいね! 日本の文化を広めよう」。新しいプロジェクトがその場で生まれ、みんなで高揚感に浸った。

 「記者がまちづくりをやるって、絶対面白いですよ」。居酒屋経営者が、もう一つの誘いをくれた。「お互いプロジェクトを達成したら、また会いましょう。僕がつくるコワーキングスペースに来て、講演してください」

 僕で良ければ、ぜひ。それまでに、ふさわしい経験を積んでおきますよ。(細川善弘)=第2章おわり

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 6月の第3章は、レストランづくりのヒントを探りに記者が地域へ。魅力的な食や人との出会いを伝えます。

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