「READYFOR?」のサイトには心躍るプロジェクトがずらり。挑戦にふさわしい舞台だ

 「まちづくり活動は、個人レベルでも実践できる。今はこういう時代なんだ」。今回のまちづくり企画をどんな連載にしようかと悩んでいた昨年12月、上司から資料をごっそり渡された。

 そこに紹介されていたのは、クラウドファンディング「READYFOR?(レディフォー)」。ネット上でプロジェクトを示し、全国の賛同者から出資を募る仕組みだ。

 レディフォーは福井県内でも、人の魅力をテーマにした観光ガイド本「福井人」の製作に活用された。昨年4月の発刊時に取材させてもらい、サービスの存在は知っていた。でも、面白い仕組みだなぁという漠然としたイメージがあっただけ。まさか、自分たちが募集する側に回ろうとは…。

  ■  ■  ■

 「陸前高田市の空っぽの図書館を本でいっぱいにしよう」

 「ネパールで売春宿から保護された女性たちにメーキャップ職業訓練を」

 タイトルだけで心を動かされそうなプロジェクトが、サイトにはずらりと並んでいた。社会問題や地域の課題を解決しようと、全国から名乗りを上げた活動者たち。掲載文からは熱のこもったメッセージが伝わってくる。

 プロジェクトごとに、資金の集まり具合も示されている。どれだけ支援されているのかが、一目で分かる。自分たちの計画が、果たしてどこまで通用するのか。不安はあるけれど、挑戦にふさわしい舞台だ。

 ■  ■  ■

 ガイド本「福井人」のプロジェクトリーダー、高野翔さん(31)=福井市出身、東京都在住=も熱い思いを語っていた。「みんなが一緒に本を作っている感覚になれた」。行政の補助金に頼るだけでは、味わえない体験だったに違いない。

 東京県人会などにも足を運び、口コミで支援の輪を広げていったという。「いわば『善意のねずみ講』みたいな感じ」。なるほど。賛同者290人から集めたのは、きっと171万4千円の資金だけじゃない。応援する気持ちが活動の力になったんだろう。

 もともと、人のつながりを最大限に生かそうというのが、自分たちのレストラン計画。多くの人に熱意を伝え、賛同者には出資という形で参画してもらいながら、一緒に実現を目指そう。

 資金集めはレディフォーを活用する。企画班の思いは一致した。1月中旬、運営会社に早速メールを送った。

  ■  ■  ■

 「自分たちの活動を報道していくというのがすごく面白い。連載を読むだけでなく、読者が参加できる形になりそうですね」

 クラウドファンディング「レディフォー」運営会社から早速、電話がかかってきた。予想以上の好感触。「詳しい仕組みはホームページで確認してください」

 サイトをみると、厳しくも現実的なアドバイスが待っていた。「『オール・オア・ナッシング』ということを考えて、必要な最低限度の金額を設定してください」

 自ら目標金額と募集期間を決め、サイトで支援を呼び掛ける。資金がもらえるのは、期限までに目標額が集まった場合のみ。逆に1円でも満たなければ、資金は一切入ってこない。そうなると、計画はすべて泡と消える。腹をくくって臨まなければ。

  ■  ■  ■

 電卓をはじきながら、シミュレーションしてみた。

 レストランの場所は既存の店舗を借りるとして、まず必要なのは、ディナーやランチで使う伝統野菜や海産物といった食材費。伝統工芸の技も生かしたいから、食器は越前焼や越前漆器を仕入れる。シェフらの人件費、チラシなどの販促費も要る。

 店の収入を踏まえると、目標額はざっと150万円ほどか。レディフォーの1人当たりの出資額は平均1万円というから、150人の支援を得なければならない。

 ただ出資と言っても、配当金も返金もない。額に応じて「リターン」と呼ばれるお礼を贈るのがルール。レストラン計画だったら、ディナーの招待券なんかが考えられそうだ。開業を一緒に喜んでもらえるような工夫を凝らしたい。

 募集開始は、計画が固まってくる夏ごろがめどか。期間は10~90日の範囲で設定できるが、要検討。集まった額の17%は、運営会社への手数料として支払われるから、これも計算に入れて、と。

  ■  ■  ■

 企画班の会議で報告すると、山口デスクから素朴な疑問。「これって実際には、いつお金が入ってくるんや?」

 翌日、急いで問い合わせた。「募集期間の終了から振り込みまでは、手続き上2、3カ月かかります」。え? これでは、準備段階の資金が確保できない―。

 何かほかの手段を探さなければ。幸いにもレディフォーは補助金や助成金とも併用が利く。焦る気持ちを抑えきれず、すぐさま行政の窓口へ向かった。(細川善弘)

関連記事